「受動喫煙0%」目標撤回 静岡県、次期健康増進計画 意見公募で反対の声 現実的な数値に
静岡県は30日、次期健康増進計画(2024~35年度)に盛り込む方向で調整していた「受動喫煙ゼロ」の数値目標を取り下げると明らかにした。パブリックコメント(意見公募)で反対意見が寄せられ、「『0%』の設定は喫煙自体の否定や規制強化など誤った認識につながりかねない」として現行計画の目標値を据え置く。計画策定は6月にずれ込む見通しだ。 同日開かれたふじのくに健康増進計画推進協議会に新たな目標値を示し、了承された。受動喫煙にさらされている人の割合を29年度に「職場0%、家庭3%、飲食店15%」にする。当初はいずれも「0%」と明記する予定だった。 パブリックコメントでは、0%の目標設定に賛成する意見の一方、「数値目標を県が設定すると市町も追随し、たばこの売り上げが減ってしまう」「家庭内での喫煙まで禁止される懸念があり、実効性も乏しい」「過度な規制に疑問を感じる」といった反対意見も寄せられた。 この日の協議会では、委員から「ことさら理想を追求するより、現実的な数値を設定する方が県民の理解を得やすい」との声が上がった。県は6月中に計画を取りまとめ、4月にさかのぼって適用する。 当初は「望まない受動喫煙のない社会の実現」を目指すとした国の方針を踏まえ、より具体的な「0%」の数値目標を掲げる予定だった。昨年12月から今年1月に実施したパブリックコメントでは「0%」「国に合わせる」との記載が混在し、「県民に誤解を与えた」として4~5月に再度意見を募った。 健康に関する県民意識調査によると、22年度に受動喫煙にさらされている人の割合は職場21・1%、家庭6・6%、飲食店22・4%。
静岡新聞社