阿部監督「泥臭く1点取りにいく」10回代走犠打犠飛 自己犠牲の精神 阿部野球の神髄で決勝点
◆JERA セ・リーグ 阪神1―2巨人=延長10回=(26日・甲子園) 阿部野球を象徴する攻撃で決勝点をもぎ取った。1―1の10回。阿部慎之助監督(45)は代走、犠打、代打と次々に動いて1死一、三塁とし、丸の中犠飛で勝ち越した。「みんなでつないでつないでという意識も見えた。それで取れた1点」。自己犠牲の精神で、甲子園2年ぶりカード勝ち越しを決めた。 10回、阪神は左の岩崎が登板。先頭の小林に代打を出さず「根性で(塁に)出ろ、何でもいいから出ろ」と声をかけて送り出すと中前安打を放った。執念の一振りに「毎回言おうかな」。ベンチが盛り上がる中、代走・重信を起用。立岡が送りバントを決め、西舘の代打・岸田が右前安打で好機を広げた。全員が役割を果たした。 3連戦初戦は戸郷のノーヒットノーランで1―0。3戦目は9回1死から岡本和のソロで追いつき、2―1で粘り勝った。昨年3勝10敗と惨敗した甲子園。「すごくうれしいです。敵地で勝ち越すって大きいことなので」。昨年6勝18敗1分けだった対阪神はここまで東京Dも含め6勝5敗1分け。4カード中3カードで勝ち越し、早くも昨年の勝利数に並んだ。 総得点113得点は12球団最少、開幕から48試合終了時点では球団史上最少だ。38試合が3得点以下と苦しむ中で貯金2、首位と2ゲーム差で交流戦に入れることを「上出来です」とプラスに捉える。最大の収穫はチーム防御率リーグ2位の2・30の投手陣。23勝中10勝を2得点以下でつかんだ。 「なかなか打線が振るわないですけど、いつかは爆発してくれると思っていますし、僅差のゲームを取ることも大事。みんなでつなぐ意識を持って泥臭く1点取りにいきたい」。長打頼みではない阿部野球で大きな1勝をつかみ、交流戦へ弾みをつけた。(片岡 優帆)
報知新聞社