有害鳥獣柵の管理課題 長野県中川村が点検開始
有害鳥獣の侵入を防ごうと山間部に設置されている柵の管理が課題になっている。シカなどによる食害被害を防ぐため地域に欠かせない柵というが、特に山中にある柵は見回るのに手間がかかり、破損して機能を発揮できていない箇所も。中山間地域が多い長野県中川村でも行政が状況把握できていない部分があり、関係者が点検などを始めた。 柵は、対策が必要な広範囲の地域に柱を立て網を張ることで獣の侵入を防ぐもの。県上伊那農業農村支援センターや村によると、国の補助で設置された柵が多く、設置事業について調べた会計検査院が、倒木などで破損し機能不全の柵があることや管理も不十分として、改善を要求している状況があるという。 中川村も、国県村の予算で2001~11年度に設置された柵が49.4キロ余りある。設置主体の地区などにより維持管理されている地域も多いというが、同村大草の北部を囲う約12.9キロのうち山間部にある柵などは行政機関が現状把握できていない部分があり、8日から点検を始めた。 この日は支援センターや村、獣害フェンスメーカーの担当者計5人で同村美里地区の約3キロを見回った。倒木で柵がひしゃげて補修が必要な箇所や、柱の固定具が外れて柵が倒れることにつながりかねない部分を確認。用水路の抜け道など、追加の対策が必要な地点も共有した。 今後、村農作物有害鳥獣駆除対策協議会で補修などを講じていく方針。村は果樹栽培が盛んで「柵は重要な役割を果たしている。なければ、相当数のシカが下りてくる」といい、村農政係の若山冬樹係長は「維持管理のための人が減っていくという課題もある。柵の効果を十分に発揮させられるよう適切な維持管理と支援をし、1頭でも入る獣を少なくしたい」とする。 支援センターの鳥獣害対策担当の坂本舜太さんは「上伊那など各地で、山間部での管理は課題。今回の点検では地元でしっかり管理されていることも確認できて安心したが、修繕や追加の対策が必要な箇所も分かり、状況を把握していく必要性を改めて感じた」と話した。