INORAN、ギタリスト人生35年で見出した未知なる世界への“ときめき” ピエール中野と特別対談
ロックバンド・LUNA SEAのギタリスト、INORANが監修するプロユースイヤホン「Clear force INRN」の製品化を目指すクラウドファンディングプロジェクトが、1月27日にスタートした。 【写真】「本当に果てしない世界だ」オーディオ論、音楽観を語り合うINORAN&ピエール中野 同製品は、総合音響機器メーカー・ORBとのコラボで製品化を目指す有線イヤホンとなり、INORANのチューニングによるオリジナルケーブルの採用など、さまざまなこだわりが注ぎ込まれた。その上で、海外製の高純度無酸素銅(OFC)銀メッキ線を使用したスタンダードモデル「INORAN×ORB Clear Force INRN SP」と、国産純銅線と真鍮プラグを使用したグレードアップモデル「INORAN×ORB Clear Force INRN PC」の2種がそろえられている。 プロジェクト始動日の当日には、数多くのイヤホンを手がけてきた凛として時雨のピエール中野をゲストに迎え、生配信のトーク番組で同製品の魅力を伝えたINORAN。本インタビューは、そんな番組の放送直後に行ったインタビューとなる。 ■「何かを作りたいと思うときには必ず何らかの理由がある」 ――まずはプロジェクト始動のきっかけから教えていただけますか? 【INORAN】すべてのタイミングがよかったという一言に尽きます。僕自身、漠然と何かモノ作りがしたいと思っていて、ちょうどそのときに知り合いの方からピエールさんの記事などを見せてもらい、「同じ業界でこうやってこだわってモノづくりに励んでいる人がいるんだ」とうれしくなったんです。 ――結果、漠然としていた創作願望がイヤホンに向いたんですね。 【INORAN】はい。僕は2017年に、米国・ニューヨークのヘッドホン&イヤホンブランド「MASTER&DYNAMIC」で自分モデルのイヤホン(500台限定で製作されたコラボモデル「ME03 INORAN EDITION」)を作ったんですが、その過程でORBの竹内さん(同社代表取締役・竹内啓敏氏)とも知り合ったんです。なのでもとを辿れば、実はもう5年ぐらい前からの流れになるんですよね。そういったいろいろな点と点がつながって、今回のプロジェクトに至ったんです。 ――「MASTER&DYNAMIC」のコラボモデルは、同社の密閉型イヤホン「ME03」をベースとしたプレミアムモデルという位置づけでした。 【INORAN】その頃から、自分の名前を冠したイヤホンをイチから作ってみたいという願望はあったんです。リチューニングなどではなく、最初から製作に携わるという形で。でも、僕にはそういった技術やノウハウがないので、実際に動き出すところまではなかなか至らなくて。でも、僕もプロのミュージシャンとして「情熱があればどんなことだってできる」ということを奏でているわけで。 ――創作願望の高まりと、これまで音楽に込めてきたメッセージ、そして人とのつながりが、プロジェクト始動への決意に結実したと。 【INORAN】「僕もイヤホンを作ってみたい」と思ったときに、自分の周りには竹内さんやピエールさんのような素晴らしい人がたくさんいて、そういった人たちの力を借りることで完成が目指せるんじゃないかと、道筋が見えたんですよね。 ――フェンダーでご自身のシグネチュアモデル・INORAN Jazzmasterを開発されたエピソードを思い出しました。INORANさん自身がJazzmasterを所有していた背景もありつつ、最終的にはマスタービルダーのデニス・ガルスカ氏や同社チームビルドのメンバーの人柄に惚れたと話されていましたね。 【INORAN】確かに近い部分があると思います。何かを作りたいと思うときには必ず何らかの理由があって、影響を与えてくれたり、刺激をくれる人がいるんです。それが結果的にフェンダーでのギター開発につながったように、今回もこうやってイヤホンの世界に入ることができたということですね。 ――ピエールさんは、INORANさんからイヤホン製作のお話を聞いた際、率直にどのように感じましたか? 【ピエール中野】単純にうれしかったですよね。ミュージシャンチューニングによるイヤホンが発売されるとなると、まず「あ、◯◯さんがイヤホンを作るんだ」って注目されるじゃないですか。で、みんなが「イヤホンを変えると音が変わるのかな?」といった興味を持ってくれるようになる。ミュージシャンモデルは、大きなキッカケの1つになると思うんです。今回、それをINORANさんという…僕が大好きなバンドのギタリストが担ってくれるということで、とにかくうれしかったです。 ――近年では、ピエールさんをはじめ、HEY-SMITHの猪狩秀平さんやアイナ・ジ・エンドさんなど、アーティストからリスニング環境に対するアティチュードが製品として示されることも、1つのムーブメントとなってきているように感じています。 【ピエール中野】今言ったように、イヤホンが注目を浴びる機会になるという点ですばらしい取り組みだと思いますし、ユーザーの楽しみが広がると思うので、個人的にはどんどんやっていってほしいです。