モリゾウチャレンジカップ(MCC)第3戦 波乱の久万高原を勝ったのは誰だ?
勝田貴元選手に続くWRCドライバーを発掘、育成していくMCC(モリゾウチャレンジカップ)が4月27~28日、愛媛県久万高原町で開催された。初日は雨と濃い霧が選手たちを悩ませ、クラッシュ続出の波乱の展開。「MCCはいつも気にかけています」と話すモリゾウさんも、さぞハラハラしたことだろう! 【画像ギャラリー】クラッシュの跡が痛々しい……タイヤの消耗も激しいのよ!!モリゾウチャレンジカップの様子をギャラリーでチェック(10枚) 文:写真/ベストカーWeb
■「苔をコケにするとこけます」とGRヤリスの齋藤尚彦チーフエンジニアが教えてくれた久万高原ラリーの難しさ
久万高原ラリーは愛媛県の久万高原町で開催されるが、高原とある通り、最高地点は1400mほどの高地を走り、狭い林道に高低差は900mほどと、選手にもクルマにもきついコースになっている。しかも2日間計8本の総SS距離は105.1km と長く、若手ドライバーには集中力を保てるかも試される。 今回も8台がエントリーしたMCC。3戦目とあって多少慣れてきたのか、レッキ(SSの下見)の後の選手たちの表情は明るく、選手同士が意見交換しているのがほほえましい。しかし、そんな彼らの表情を一転して曇らせてしまったのは視界を遮る濃い霧と雨。高地のため天候が悪化すると霧が立ち込め、視界を奪ってしまうのだ。 さらに選手たちを苦しめたのは狭い舗装林道の中央と脇にびっしりと生えた緑の苔。「ライン取りは苔を避けること」。どのチームも「苔に注意!」が合言葉になっている。苔の上はとにかく滑りやすく雨ならなおさらだ。ブレーキしたら最後、コースアウトは必至だ。 ところが、視界がまったくきかないSS3で優勝候補の大竹直生選手が右コーナーでスリップ、轍にタイヤを落とし、復帰に9分以上要してしまい、優勝が遠のく。さらに後ろを走るKANTA選手もライン取りを誤り、苔の上でブレーキングした結果、コースアウトしコンクリートに激突、リタイアになってしまった。 「苔をコケにするとこけます」。齋藤チーフエンジニアはうまいことを言うなと感心するが、大竹直生選手もKANTA選手もコケにしていたわけではなく、細心の注意で走っていたはずだが、ほんの小さなミスが命取りになるのがラリーだ。 今回はベテランの草加浩平さんにコ・ドライバーをお願いすることになり、「この久万高原で本来の走りを見せる」と気合が入っていた大竹直生選手はSS1、SS2とぶっちぎりの走りを見せていただけに何とも惜しい結果に。「めちゃくちゃ悔しいです。(ミスは)ほんとうにあのコーナーだけなんです。気持ちを切り替えるしかありません。次戦の丹後(京都)こそは、絶対に勝ちます!」と自分に言い聞かせるように話してくれた。 いっぽうのKANTA選手はケガがなく何よりだが、「けっこうショックです。それまでいい感じで走れていたのに、タイヤ1本分ラインが外れ、苔の上でブレーキしてしまい。コントロールを失いました。チームやコ・ドラの保井さんに申し訳ないです」と肩を落とした。 KANTA選手のクラッシュを聞いてチーム監督の勝田貴元選手は「彼には必要なステップです」とコメントしている。おそらく勝田貴元選手もフィンランドで何度もクラッシュしながら、成長したことを念頭にしてのことだろう。