対韓外交は「両国関係は重要、冷静に対応を」杉山晋輔元外務次官、対日強硬派存在感増すも
元外交官の杉山晋輔氏は15日、NHK番組で、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が「非常戒厳」を宣布するなど韓国の一連の混乱について、「われわれとしては日韓関係の重要性を十分に考えながら、(来年の日韓国交正常化の)60周年のお祝いをきちんと行う姿勢は変えてはいけない」と強調した。杉山氏は第2次安倍晋三政権で駐米大使、外務次官などを歴任した。 杉山氏は、韓国で親北左派の最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表が次期大統領候補とされる状況については、「どういう風になるか分からない。冷静に総合的に客観的に、日韓関係の重要性のもとで対応していくしかない」と強調した。 李在明氏は、過去に日本を軍事上の脅威がある「敵性国」と呼び、東京電力福島第1原発の処理水を「核汚染水」と表現するなど対日強硬発言で知られる。 杉山氏は、韓国の現状について「内政上の混乱といっていい。不安定な状況が(東アジア地域の安定に)プラスになることはない」と指摘した上で、「韓国や(米国、)豪州などと連帯して東アジアの平和と安定をきちんと確保しなければならない」と述べた。 ■「過信良くないが日本は立派、発言力ある」 トランプ次期米大統領については、「予測不可能な所があり、かつ1期目の経験で、さらにできると思っている所もあるようだ。(来月の)就任式を前からいろいろなことを始めている」と述べ、石破茂政権の外交に対して「国内でいろいろな議論があるのはそうだが、対外関係は国の安全保障や経済に直結する。先手を打ってやっていく必要がある」と述べ、米国や韓国などとスピード感を持って連携を強化する必要性を指摘した。 杉山氏は「過信は良くないが、国際社会から見ると日本は非常に立派だし、発言力もある。もうちょっと正当な自信と自覚を持って、旗を立てて(ほしい)。韓国がどのようになれ、米国のトランプさんになれ、国益と地域の平和と安定のために、もうちょっと発信して、いろいろなことを積極的にやる前向きな姿勢がいいのではないか」と訴えた。