東急が所有権の譲渡に向け調整に入った香林坊東急スクエアが入るビル＝金沢市香林坊２丁目

　東急（東京）は、金沢市中心部にある商業施設「香林坊東急スクエア」が入るビルの所有権を、全国で不動産関連事業を手掛けるリオグループに譲渡する方向で調整に入った。21日までに関係者への取材で分かった。ホテル部分の運営は東急が継続する一方、売り上げが伸び悩む商業棟はリオの関連会社が運営するとみられる。月内に開催されるビル管理会社の株主総会で諮る。リオ側は商業施設を来春にも改称する意向だという。 ⇒地図はコチラ 　　●25年春にも改称 　商業棟の運営は、リオ・ホールディングス（東京）傘下のリオ・モールマネジメント（同）が担うとみられる。東急が2020年に東京・八王子市の「八王子東急スクエア」をリオに売却した際に設立された会社で、この施設を「八王子オクトーレ」と名称変更して運営している。 　「東急スクエア」は、東急モールズデベロップメント（東京）が展開する商業施設ブランドで、香林坊は首都圏以外では唯一の運営施設となっている。 　香林坊東急スクエアが入る金沢市香林坊2丁目の香林坊第一開発ビルは、商業棟が地下1階、地上5階。金沢東急ホテルとともに1985年9月にオープンした。専門店スペースは大半が東急の所有で、香林坊109時代には、渋谷109の人気ブランドを1、2階に集積させるなど10代後半を中心とするギャル系の集客を図った。 　2016年4月に香林坊東急スクエアと改称してからは、生活雑貨店「東急ハンズ（現ハンズ）」のほか、北陸三県で初出店となった人気セレクト店「ユナイテッドアローズ」を核テナントに、30代以上に照準を置いた店舗構成に路線転換した。地下1階には、うつのみや（金沢市）が入り、現在は飲食店、コワーキングスペースなどを含め34店が営業している。 　近年は、金沢駅周辺の商業施設との競争の激化、さらに、新型コロナウイルスの感染拡大で客足、売り上げが落ち込み、全体のうち1割超で空き床が解消されない状況が続いていた。今年3月には3階に入っていた衣料品店「ユニクロ」が撤退し、駅前に移転。後継のテナントがない状態となっていた。 　東急の広報担当者は「現状、お伝えすることはありません」と話した。 　★リオ・ホールディングス（東京）　2007年設立。商業施設運営のリオ・モールマネジメント、資産運用コンサルティングのリオ・コンサルティングをはじめ、不動産賃貸仲介、ホテル運営、建設業など13社を傘下に持つ。23年の連結売上高は327億円。グループとして、金沢市内で複数のビルを所有・運用し、商業系では竪町のココット金沢（旧金沢パティオ）、事務所系では香林坊ファーストビルがある。