「罰が当たればいい」大バズりした暴露系配信者が魅せられたお金よりも“厄介なもの”
一時期、暴露系配信者は、隠された“悪事”を暴くダークヒーローのようにネットユーザーから絶大な人気を博していた。だが、行き過ぎた処罰感情を煽ることや、時には誤報の流布により取り返しのつかない事件に発展することから、問題視もされてきた。 【第1話を読む】「クソ逃げてる」飲酒運転の事故現場から犯人が逃走!追いかけて思わず撮った動画に映ったものとは? そんな暴露系配信者が“そっち側”に足を踏み入れる理由とは一体なんなのだろうか。正義感、復讐心、高額な収益……人によって様々だとは思うが、『死ぬまでバズってろ!!』(ふせでぃ著)で描かれる暴露系配信者は、それよりも厄介な“あるもの”に魅せられてしまっている。 ▼▼▼ 主人公はバツイチの貧乏フリーター・浅野。パスタ屋でアルバイトをしながら、「タパ子」の名で動画配信を行い小銭を稼ぐ日々。このパッとしない人生から一発逆転できるような何かが降ってきてくれたらと願う彼女だが、そんなある日奇跡が舞い込む。それは、配信中に偶然遭遇した交通事故である。 ある夜の配信中、なんとなく目についた道端で泥酔している男性。気になって後を追うと男性は車に乗って飲酒運転をし始め、挙げ句の果てにはバイクと衝突事故を起こしその場から逃走してしまう……。そんなショッキングな一部始終を目撃したタパ子は最初は恐怖で震えるものの、その全て握っている自分自身に微かな高揚感を覚えてしまうのだ。 結果、彼女は一連の事故動画をSNSに投稿するのだが、その様子はそれまでの雰囲気とは打って変わり、怖いくらいに静か。まるで二度と引き返せない地獄の門が開いたかのようで、それがとても恐ろしい。
人生で初めての“バズ”を経験
それから数時間後、いいねとフォロワー数の急増、テレビ局からのDM、さらには自分の投稿がトレンド1位になるなど、人生で初めての“バズ”を経験する。動画の収益に期待を膨らませるタパ子だったが、加害者が有名人であったこと、そしてテレビで自分の動画が流れた時に、お金よりも遥かに自分の心煌めかせる“アレ”に目覚めてしまう。 ――“私”の動画が流れている、“私”の名前が放送されている…… つまり、承認欲求が満たされる快感である。