敦賀原発2号機再稼働“不合格”「結論ありきの審査」事実上1人の委員が決める体制を専門家が問題視
政策アナリストの石川和男が8月10日、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送Podcast番組「石川和男のポリシーリテラシー」に出演。原子力規制委員会が8月2日、日本原子力発電が再稼働を目指す敦賀原発2号機(福井県)の原子炉建屋直下に活断層がある可能性を否定できないとして、再稼働の新規制基準に不適合との結論を取りまとめる方針を示したことについて専門家と議論した。
原子力規制委員会は8月2日、日本原子力発電が再稼働を目指す敦賀原発2号機(福井県)の原子炉建屋直下に活断層がある可能性を否定できないとして、再稼働の新規制基準に不適合との手続きを取るよう事務局に指示した。 敦賀原発2号機を巡っては、原子力規制委員会の判断の前提となる審査会合が7月26日に開かれ、原子炉建屋直下に活断層があることを否定できず、新規制基準に適合しないと結論付けていた。その後、事業者の日本原電は再稼働に向けた追加調査をする考えを示し、審査の継続を訴えたが、規制委員会はこの訴えを受け入れず審査を終了し、今後、新規制基準に不適合だとする結果の取りまとめを行うよう事務局に指示した。 一連の動きについて、番組にゲスト出演した東京工業大学科学技術創成研究院特任教授の奈良林直氏は「結論ありきの審査だった」と述べ、原子力規制委員会の設立経緯について言及。5人で構成される規制委員会のなかで、断層などをみる地質学分野の担当委員が1人である点に着目し「アメリカの原子力規制委員会(ACRS)は、専門家が何人も議論して、議論した結果を規制委員会に出す。その後、最終的に多数決できめる。ところが日本の規制委員会は、専門分野の委員は1人で、その委員がダメだと言えば多数決ではなく、そのまま上に意見があがって承認されるだけ。アメリカだったら専門家を“集めて”議論、決定するところが、日本では1人の最終的な判断でダメと言ったら再稼働を認めないという結論になってしまう。私はここは大きな問題点だと思う」と指摘した。 そのうえで、規制委員会側が示した原子炉建屋直下に活断層があることを否定できないとする点について「本来、規制委員会側が証明しなければいけないこと。事業者側はすでに国の許可を得て建設して、何十年も安全に運転していて、それをダメだと規制側が言うならば、規制側がその根拠を示す説明責任がある」と批判した。 石川は「安全性はもちろん大事だが、各地で原発が停止していることで年間数兆円、余計な化石燃料を輸入している。原子力規制委員会という安全だけに特化した部門が、私から言わせれば『可能性を否定できない』という非科学的な理由で一方的に突っぱねていて、日本国民が大損しているということも認識すべき」と訴えた。