南シナ海の領有権問題、今どうなってるの?
日本はフィリピンに巡視船供与
ASEAN諸国と中国は2002年、南シナ海での現状凍結や紛争の平和的処理を各国に求める「行動原則」に署名しました。しかしその後、中国への警戒感が強まるなか、これに法的拘束力をもたせた「行動規範」の策定を求める意見がASEAN諸国から噴出し、日本や米国もこれを支持。さらに日本政府は今年7月、フィリピンに巡視船を供与することを発表しました。 一方の中国は「問題は二国間の協議で解決すべき」と主張したうえで、当事国以外の関与を批判。しかし、東南アジアで広がる中国脅威論を背景に、10日に発表されたASEANと中国の共同声明では、行動規範の策定に「努力する」ことが明記されたのです。 ただし、ルールによる紛争解決の実現は、楽観できません。ASEAN諸国の半数はこの問題と直接関係ありません。さらに、ASEAN6ヵ国と中国の間では2010年に自由貿易協定(FTA)が発効しており、多くのASEAN諸国にとって中国は重要な貿易パートナー。したがって、「努力する」以上の具体的な目標が共同声明に盛り込まれなかったことは不思議ではなく、行動規範が早期に策定される可能性は、必ずしも大きくないのです。