生産量日本一、北海道のアスパラに迫る危機 作付面積、年々減少 手作業での収穫、負担重く
生産量日本一を誇る道内のアスパラガスの作付面積が年々減少している。農家の高齢化や人手不足が進む中、収穫が手作業で負担が重く、栽培を続けることが難しくなっているためだ。一方、道産アスパラの人気は根強く、経営安定にもつながることから、農協や市町村は生産を推奨。苗を無償提供するなど、作付け減少を食い止める動きも出始めている。 【動画】幸福駅、貼られた切符をはがし奉納へ 農林水産省によると、道内の作付面積は統計を取り始めた2002年が2010ヘクタールで、03年は横ばいだったが、その後は縮小傾向が続き、22年は1100ヘクタールと約半分になった。 全国も同様で、02年の6400ヘクタールから22年は4360ヘクタールまで縮小している。収穫量は、栽培技術向上で面積当たりの量が増えたが、道内は02年の4800トンから、22年は3500トンに減った。 道内有数の産地、名寄市の作付面積は、23年は130ヘクタール(旧風連町分も含む)で、02年から4割以上減った。露地栽培の収穫期は主に5~6月で、1本1本鎌で刈り取るのが一般的。市内のアスパラ農家水上治さん(61)は「田植えやほかの野菜を植える時期と重なり、収穫の人手が足りなくなる。アスパラの苗は植えた3年後から10年くらいは、毎年、収穫できるが、苗を更新するタイミングでやめる農家が多い」と話す。 道北なよろ農協(名寄市)によると、ここ数年は「収穫作業を手伝うアルバイトの確保が難しくなっている」。名寄市と同農協は、18年から名寄市立大生が有償で作業を手伝う「学生援農ボランティア」を実施するが、学生の参加は土日が中心で「平日の不足分は埋められない」(市農務課)という。