「本当にあったとは…」加治木島津家当主の弾奏家も驚いた 「伝説」の薩摩琵琶、製作者の家族が寄贈 半世紀前、県試験場で研究・試作
半世紀以上前に鹿児島県木材工業試験場(現県工業技術センター)の技術者が製作し、保管していた薩摩琵琶が、姶良市の弾奏家で加治木島津家13代当主の島津義秀さん(60)にこのほど寄贈された。製作技術の廃絶を危惧した試験場が研究の一環で試作したもので、島津さんは「以前から話に聞いていた『伝説の琵琶』。現存していたとは」と驚いている。 【写真】飯田正毅さん
寄贈したのは広島市の会社役員、飯田政之さん(65)=鹿児島市出身。20年前に亡くなった父の正毅さんが、試験場に勤務していた1970(昭和45)年ごろに作ったという。県内の薩摩琵琶製作者が「高齢の2、3人」という当時の状況を憂い、研究、試作が行われたと記録が残る。 最近まで鹿児島市の飯田さんの実家に飾られており、県を介して、島津さんへの寄贈が決まった。本体の欠損はなく、島津さんが弦を張り直した。「音に改善の余地はあるが、外見はパーフェクト。ここまでいい状態で残ったのは奇跡」と評価する。 今年4月に広島市内で開かれた島津さんの演奏会でお披露目された。飯田さんは「時空を超え、よみがえったのは本当に幸せ。父が生きていたらどんなに喜ぶだろうか」と目を細めた。 島津さんによると、東京の職人を中心に現在も製作は続いている。県内でも途絶えたり復活したりしている。 寄贈された薩摩琵琶は、島津さんが講師を務める鹿児島市東千石町の天文館カルチャー・サロンで展示中。見学は要事前連絡。同サロン=099(800)4732。
南日本新聞 | 鹿児島
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