日経平均「あっさり4万円突破」で上昇気流だが…まだ間に合う?日本株投資【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフグローバルストラテジスト】
2. 処方箋その2:「デフレ脱却」という特効薬
■「実質GDPがほとんど伸びない中で、日本株が上昇を続けるのはおかしい」との意見をよく耳にします。一見、もっともらしく聞こえますが、あなたの日本株投資意欲を削ぐこうした「おせっかい」には注意が必要でしょう。というのも、企業の売上や一株当たり利益(EPS)といった株価を決めるファンダメンタルズは、インフレ調整後の実質GDPではなく、インフレ調整前の「素の数字」である名目GDPに連動する傾向が強いからです(図表2)。 ■弊社では、2023年度の名目GDPは5.2%のプラス、2024年度も2.2%の成長を見込んでいます。そして、こうした「名目GDPの成長」から、企業業績は今後も好調な推移が続くと予想しています。そして、足元では物価上昇と賃上げの好循環によるデフレ脱却が本格化することで、こうした見通しが実現する可能性が高まってきています。 <大幅賃上げで脱デフレが加速する日本経済> ■連合は3月7日に24年度の春闘の要求集計を公表しましたが、定期昇給を含む賃上げ率は前年度比+5.85%(23年度+4.49%)、ベースアップ(ベア)は+4.30%(23年度+2.83%)となり、賃上げ率の要求水準としては30年ぶりの高水準となりました。近年の要求と妥結の乖離を踏まえると、24年度の労使が妥結する賃上げ率は+5.0%程度(23年度+3.58%)、ベアは+3.5%程度(23年度+2.12%)に着地するものと見込まれ、いずれも昨年度の実績や、市場コンセンサス(賃上げ率+3.9%、ベア+2.2%)を上回る大幅な賃上げが実現することとなりそうです(図表3)。 ■ここもとの日本経済、中でも個人消費を中心とした内需の減速は、インフレの高止まりを背景とする実質賃金の低迷によるところが大きかったように思われます。しかし、今後はインフレを上回る大幅な賃上げが実現するようならば、GDPの半分以上を占める個人消費が活性化することで、名目GDPや企業業績を押し上げ、日本株にもプラスの作用をもたらすことが期待できそうです。
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