バルサ入団の安部裕葵が直面した壁の正体
FCバルセロナの選手が26人集うはずの町田市立陸上競技場のピッチに、最後の一人がなかなか姿を現さない。センターサークル付近で作られた輪が解かれ、いくつかのグループに分かれて始まったウォーミングアップにも、鹿島アントラーズから加入したばかりのFW安部裕葵(20)は加わらなかった。 プレミアリーグの強豪チェルシーFCと埼玉スタジアムで対峙する、23日の『Rakuten CUP』を前日に控えた公式練習。あいにくの小雨が降りしきるなかで、メディアに公開された冒頭15分間の3分の1ほどの時間を、安部は室内で右腰付近のアイシング治療に充てていた。 まさかのアクシデントに見舞われたのは、スペイン時間の17日午前に行われたバルセロナBの練習中だった。接触プレーで右腰を打撲し、移籍後で初めてとなる記者会見をはさんで行われた午後の練習をキャンセルした。患部がちょっと腫れていたこともあり、大事を取って休養に努めた。 安部のもとへバルセロナからのオファーが届いたのは、森保ジャパンの一員としてフル代表デビューを果たした6月のコパ・アメリカ前だった。当初は驚きを隠せなかった安部の心は時間の経過とともに移籍へと傾き、今月12日に交渉がクラブ間で合意。14日にバルセロナへ向けて離日し、メディカルチェックなどをへて現地時間15日に正式契約を結んだ。 バルセロナの公式サイトによれば契約期間は4年間で、バルセロナからアントラーズに対しては110万ユーロ(約1億3300万円)の移籍金が支払われる。同時にバルセロナから他のチームへ移籍する際の契約解除金として、バルセロナB在籍中は4000万ユーロ(約48億4000万円)が、トップチームに昇格している場合は最大1億ユーロ(約121億円)が設定されている。 金額の高さは寄せられる期待度の表れと言っていい。正式契約を結んだ直後には、クラブの公式インタビューに答えている安部の様子が、バルセロナBの公式ツイッターで公開されている。 「本当に自分は恵まれていると感じますし、この環境にいることを幸せに思います。(バルセロナは)夢にも語れないくらいの存在だったので、ここにいる自分が不思議でしょうがないです」