トクリュウ5人逮捕、郡山署 違法薬物譲渡や所持疑い、SNS通じ販売
違法薬物の譲り渡しや所持をしていたとして、郡山署は21日までに、麻薬特例法違反などの疑いで福島県郡山市堤2丁目、職業不詳の男(36)ら5人を逮捕した。同署によると、5人は交流サイト(SNS)などでつながり、離合集散を繰り返す「匿名・流動型犯罪グループ(通称トクリュウ)」のメンバー。職業不詳の男をリーダーに、県内外で大麻栽培や薬物の密売をしていたとみられる。 このほか逮捕されたのは、郡山市鶴見坦3丁目、暴力団員、無職の男(43)、二本松市木幡字西赤土、無職の男(26)、郡山市堤2丁目、会社員の女(34)、同市田村町桜ケ丘1丁目、自称無職の男(30)の4容疑者。 逮捕容疑は、職業不詳の男が1月5日ごろ、郡山市内で大麻や合成麻薬MDMAを譲り渡した疑い。郡山市の43歳男、二本松市の26歳男は営利目的で覚醒剤を所持した疑い。郡山市の会社員の34歳女は、職業不詳の男とともに、営利目的で大麻を所持した疑い。郡山市の30歳男は覚醒剤を所持した疑い。同署は5人から大麻やコカイン、覚醒剤、MDMAとみられる薬物(計約600万円相当)などを押収している。
捜査関係者によると、グループは郡山市が発祥で、数十人規模。数年前から活動し、本県から栃木県や愛知県などに勢力を拡大していったといい、売り上げの一部は暴力団の資金源になっていた可能性がある。SNSで「手押し(手渡しの意味)」などの隠語を使って客を集めていたとみられる。同署によると、グループは栃木県や三重県の少なくとも2カ所に大麻の栽培拠点を設け、SNSなどを通じて違法薬物の販売をしていた。 同署は5人の認否について捜査に支障があるとして、明らかにしていない。指示系統やそれぞれの役割など、組織の実態解明を進めている。同署は21日、郡山市の30歳男を除く4人を送検した。県警、愛知県警、栃木県警の合同で捜査した。
大麻、来月12日から「使用罪」
今回トクリュウが関わったとみられる大麻の売買は、面識のない人物同士が交流サイト(SNS)で連絡を取り合い行う例があり、県警幹部は「県内でも大麻関連の摘発は増えている」とする。SNS普及で以前より容易に手に入れやすくなっていることが要因といい、「『ゲートウエードラッグ(入り口の薬物)』と呼ばれるように薬物依存につながる」と危機感を強める。 大麻取締法と麻薬取締法の改正法は12月12日に施行され、大麻は「麻薬」と位置付けられ、他の規制薬物と同様に使用罪の適用対象となる。大麻の不正な使用や所持は麻薬取締法違反で7年以下の懲役となる。 警察白書によると、大麻取締法違反や大麻に関する麻薬特例法違反容疑で昨年、全国の警察が摘発したのは6482人で、統計のある1958年以降で過去最多。初めて覚醒剤関連の摘発者数を上回った。
福島民友新聞