フィリピンの台風リスク、気候変動で倍増 気象分析団体が指摘
[シンガポール 12日 ロイター] - フィリピンは気候変動によって熱帯性暴風雨に対して脆弱になっており、台風発生の危険性が倍増しているとする研究結果を、世界気象分析グループ(WWA)が12日公表した。 フィリピン周辺では先月に4つの台風が発生したが、世界の気温が1.3度上昇したことで発生確率が70%高まったという。 研究者は、個々の気象現象について気候変動が原因とすることには慎重だが、海水温の上昇で地球全体の降雨量と風速が増しているという見解では一致している。リポートでは「気候変動により、台風の発生や拡大の要因となる条件が2倍近く増加した」としている。 フィリピンでは10月から11月にかけて6つの熱帯低気圧が相次いで上陸。数十万人が避難し、170人以上が死亡した。研究結果をまとめたインペリアル・カレッジ・ロンドンの気象研究者ベン・クラーク氏は、海水温上昇により「暴風雨はより強力に発達してフィリピンに到達する可能性が高まった」と語った。 同氏は、気温が産業革命以前より2.6度高くなれば、同様な暴風雨が発生する可能性は現在よりさらに40%高くなるとしている。 気温上昇によって台風シーズンが長くなるのか、より頻繁に発生するようになるのかは明らかではない。 国際赤十字・赤新月社連盟のフィリピン代表アフリル・ランセス氏は「以前はハザードカレンダーと呼ばれるものがあったが、今は基本的に1年を通して危険なシーズンだ」と述べた。