パワハラNO! 連合大阪が「労働相談ダイヤル」開設
パワハラやマタハラなど差別に関する相談が増加
求人倍率が上向く一方で、働く人たちの格差拡大が解消されない中、連合大阪非正規労働センター(大阪市中央区)が「なんでも労働相談ダイヤル」を開設し、労働者からの相談に応じている。最近はパワハラやマタハラなど、差別に関する相談が増加している。担当者は「職場で困ったことが起きたら、なるべく早く『なんでも労働相談ダイヤル』へ連絡してください」と呼びかけている。 「権利は使わなければ輝かない」ブラック企業から自分を守る手段
解雇強要にはキッパリ「退職しません」と意思表示を
「なんでも労働相談ダイヤル」には専門相談員が常駐し、労働者からの多様な相談に応じている。たとえば、会社側が労働者にいきなり「辞めろ」と退職を迫るケースが少なくない。心理的に動揺した労働者が退職強要の圧力に抗しがたく、納得がいかなくても退職を受け入れ、泣き寝入りをしてしまいがちだ。 こうした局面に陥った際、労働者は、どうしたらいいのだろうか。相談ダイヤル担当者は「納得がいかない場合、退職に同意をしない。『解雇理由を書面で説明してください』と解雇理由書の提示を求める。そのうえで、『退職するつもりはありません』と、はっきり就労の意思表示をしましょう」と話す。 密室での退職強要にも焦ることなく、会社側のペースに飲み込まれないことが大切だ。同センター発行の退職強要対策小冊子では、「『やめます』と言うまで面談が終わらない」「さまざまな嫌がらせをして追い込む」「成績不良をつくりだす・不利益に扱う」など、会社側の退職強要の手口を網羅分析。状況に応じた対応策を、労働者に伝授している。
パワハラやマタハラなどの差別相談が増加
昨年1年間の相談件数は992件。賃金未払いなどの賃金に関する相談が155件で、2番目に多かった。もっとも多かったのは、母性保護(マタハラ)、セクハラ、パワハラ・嫌がらせなど、差別に関する相談で、157件に達した。 中でもパワハラ・嫌がらせに関する相談が、122件と群を抜く。景況が不透明な中、内向き志向に陥り、上位者が職権を乱用するぎすぎすした職場環境が目に浮かぶ。昨年7月から今年6月までの最新の相談件数集計でも、差別は賃金に続いて2位を占めるなど、差別が賃金と並んで深刻な問題となっている傾向に変わりはみられない。 労働者の権利を認めようとしないブラック企業の横行が社会問題化しているが、社会全体に通底する教養や見識が希薄になり、人権そのものへの関心が低下している一面も見逃せない。新たな産業や雇用を生み出す起業家の活躍が待望される半面、競争に勝ち抜いて企業成長を急ぐあまり、労働者の権利を守ることに無頓着な起業家が少なからずいることも、雇用をめぐる問題をむずかしくしている。