黒部ダム貯蔵酒で乾杯 キャニオンルート記念でお披露目、19日発売
●一般開放未定も機運醸成 富山県の新観光ルート「黒部宇奈月キャニオンルート」を記念した日本酒が完成し、12日、富山市のANAクラウンプラザホテル富山でお披露目会が開かれた。県酒造組合と関西電力、北陸酒販(富山市)がルートの一般開放予定に合わせて各酒蔵14種類の地酒を黒部ダムで約2年間熟成させた。19日から県内酒販店やオンラインで販売される。能登半島地震の影響で開放時期は未定だが、関係者は新商品「黒部ダム酒」による機運醸成に期待を寄せた。 黒部ダム貯蔵酒の取り組みはダムを管理する関西電力の呼び掛けで2020年度に始まった。日が当たらず5~10度と低温のダム環境を生かし、日本酒を保存。これまでに1800ミリリットル換算で約1500本を出荷した。第4弾となる今回は、開業予定を控えるキャニオンルートの記念商品と位置付け、22年9月に県内14社の1万6008本を黒部トンネル内で熟成させた。 能登半島地震を受けキャニオンルートの開業は延期されたが、日本酒に被害はなく「むしろ販売することで開業時期まで盛り上がりを継続できる」(県酒造組合の桝田隆一郎会長)として、予定通り6月にダムから取り出した。 お披露目会には関係者約60人が出席した。関電の須谷浩史北陸支社長が「開業できなかったことは本当に悔しく残念だが、雄大な自然でできた日本酒を存分に味わってほしい」とあいさつした。 ラベルは黒部ダムの観光放水の写真などを用いて各社オリジナルに仕上げ、化粧箱やぐい飲みも用意した。 地震で酒貯蔵庫が全壊した髙澤酒造場(氷見市)の髙澤龍一社長は「復興のシンボルに位置付けたい」と語った。 桝田会長は「キャニオンルートが開業した時には県民の皆さんに広く知れ渡る商品になってほしい」と期待を寄せた。