都医、サプリ健康被害に警鐘「本来は生活習慣で改善するべき」「医師や薬剤師に服用歴伝えて」
小林製薬の「紅こうじ」成分を含むサプリメントを巡る健康被害問題。東京都医師会の尾﨑治夫会長は4月9日、定例記者会見で健康食品やサプリメントについて解説した。 【写真】消費者庁ホームページで公開されている「健康食品手帳」の例 日本医師会の健康食品安全対策委員長を務めた経験もある尾﨑会長は、冒頭で「機能性表示食品の問題点について盛んに言われているが、機能性表示食品というのは健康食品のひとつで、巷にはたくさんの健康食品やサプリメントがあふれている」と言及。 「サプリメントはいわゆる錠剤やカプセル状のものを指すと解釈されているが、法的な定義があるわけではない」として、健康食品とサプリメントの違いについて「有効成分が含まれていても、通常は健康食品ばかり摂取することはあまり起こらないが、錠剤やカプセルの形で提供されるサプリメントは “(そのほうが)早く効くのではないか” と、用法・用量を超えてたくさん飲んでしまう人が出てきている。結果として、サプリメントのほうが健康被害が多い」と警鐘を鳴らす。 「基本的には栄養のバランスが取れた食事をすることと、もし中性脂肪が高いなどがあれば、食品の取り方やバランスの工夫、定期的な運動など本来は生活習慣で改善していくべきもの。“これを飲めば中性脂肪が下がる” など、いろんな形の健康食品があふれているが、あくまで補完的な役割として使うことが前提。巧妙な宣伝もあって効能・効果はあるけれど、医薬品のように副作用がないのではないかと思われて用いられているところがあるが、実際には問題を起こしている」
尾﨑会長は、健康食品の分類について「 “こういう効果がありますよ” と表示していい保健機能食品が特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品。その他にもたくさんの健康食品が出回っているが、はっきりした機能が証明されていないので、 “こういうことに効きます” とは表示できないのが一般の健康食品で、その数がものすごくたくさんある」と説明。 さらに「食品なので言う必要がないと思っている患者さんが非常に多いのですが、医療機関を受診する際、健康食品やサプリメントを摂取していることを医師あるいは薬剤師にぜひ伝えていただきたい。医薬品と同じような害が出る場合もあるので、その情報が医療機関や薬局に伝わることが極めて重要」と強調した。 健康食品やサプリメントと医薬品の相互作用によって、思わぬ副作用につながることがあるといい「以前から診療所の先生方、薬局や薬剤師の方に問診票にも健康食品やサプリメントを摂取しているという項目を入れていただきたいとお願いしている。現状は普及していないが、患者さんに聞いて確認する体制を作っていきたい」と尾﨑会長。 最後に、健康食品による健康被害を防ぐために「『健康食品手帳』というものに健康食品やサプリメントの服用開始時期や、体調の変化を書き留めていただくと非常に参考になる。消費者庁のホームページに記載があるのでよろしくお願いします」「健康食品の成分の効果や副作用を調べたい場合、論文やエビデンスを集めて網羅した書籍『健康食品・サプリ[成分]のすべて』があるので活用していただきたい」と呼びかけた。