黒後愛が3年ぶりに代表で得点 リリーフサーバーでエース ブルガリアをストレートで下し開幕連勝
◆バレーボール ネーションズリーグ女子トルコ大会 日本3(25―13、25―15、25―15)0ブルガリア(16日、トルコ・アンタルヤ) 【出場条件】バレーボール女子のパリ五輪 パリ五輪の出場権をかけた1次リーグ(L)第2戦で、6大会連続出場を目指す日本は、ブルガリアに3―0で快勝した。開幕2連勝を飾り、五輪切符獲得へ前進。3季ぶりに代表復帰した黒後愛(25)=埼玉上尾=が第2セット途中にリリーフサーバーで登場しサーブで今大会初得点を挙げ、勢いづけた。林琴奈(24)=JT=と古賀紗理那(27)=NEC=がチーム最多13得点で導いた。 黒後が戦力として帰ってきた。セットカウント1―0の16―10。真鍋政義監督(60)にリリーフサーバーとして起用され、相手守備の前にふわりと落とす絶妙な1本でサービスエースだ。日の丸をつけての3年ぶりの得点。トルコとの開幕戦(15日)で途中出場し、21年東京五輪以来となる代表復帰を果たした25歳は「出場機会が少ない分、結果を出さなきゃなと。ポイントを取ることができてうれしい」とトレードマークの笑顔がはじけ、チームの勢いを加速させた。 昨秋のパリ五輪予選で出場権獲得に届かなかった。真鍋監督は「新たな戦力が必要」と、国際舞台の経験値を買って黒後を呼び戻した。東京五輪では、中田久美監督の下で古賀とともにエースの役割を担ったが、チームは1次リーグ敗退。黒後は心身の状態が上がらず、1シーズン栃木の実家に戻り、休養した。バレー経験者の両親、姉のサポートを受け、「完全に(バレーから)離れることはなかった。それはありがたかった」と振り返る。昨秋のブラジル戦は会場で観戦し涙。「恩返し」の思いから復帰へのスタートを切り、日の丸の舞台に戻ってきた。 黒後の1本でチームは乗った。最終セットは11―11の競り合った場面からミドルブロッカーの山田が相手スパイクをブロック。古賀主将の強打でつなぎ、マッチポイントから主軸の林がレフトから決め切った。高さのあるブルガリアに対し、わずか1時間17分で一蹴。山田は「昨日(のトルコ戦)よりも精度の高いバレーができて、最後までいいリズムだった」と胸を張った。 古賀や石川、林ら層が厚い攻撃陣の中で共闘し、04年アテネ五輪から続く6大会連続出場の目標に向かう。持ち味の力強いスパイクに加え、サーブも好調な黒後は「ここまで支えてもらった人に感謝の気持ちを伝えたいのが今は一番」と思いを込めた。日本の五輪切符獲得の起爆剤となる。 ◆ネーションズリーグの勝ち点 3―0または3―1勝利は3点。3―2勝利は2点。2―3負けでも1点を獲得する。 ◆日本女子のパリ五輪への道 五輪出場12枠のうち、昨年五輪予選で出場権を獲得したのはトルコ、米国、ブラジル、セルビア、ポーランド、ドミニカ共和国と、開催国・フランスの7チーム。残る5枠は16チームで争うネーションズリーグ(NL)1次リーグ終了時の6月17日付の世界ランクで決定。アジア・オセアニア、アフリカ大陸はまだ出場権を得ておらず、アフリカはケニアが有力。日本はアジア最上位となるか、すでに出場を決めたチームなどを除く上位3か国に入ることが条件となる。
報知新聞社