「看過できない」反捕鯨ワトソン容疑者の引き渡し拒否に自民・小野寺氏 外務省の動き検証
自民党の小野寺五典政調会長は20日、デンマーク政府が同国の自治領グリーンランドで勾留中の反捕鯨団体「シー・シェパード」創設者、ポール・ワトソン容疑者の身柄を日本に引き渡さないと決めたことについて、党本部で党捕鯨対策特別委員会の幹部らと対応を協議した。小野寺氏は「看過できない。わけの分からない理由で釈放するのはどういうことか。日本を法治国家として認めていないのではないか」と憤りを述べた。 【写真】反捕鯨団体「シー・シェパード」創設者、ポール・ワトソン容疑者 会合後、同委員長の鶴保庸介元沖縄北方担当相が記者団に明らかにした。 ワトソン容疑者は、2010年に日本の調査捕鯨を妨害したとして、日本当局が傷害容疑などで逮捕状を取得し、今年7月に活動船の給油に立ち寄ったグリーンランドで拘束された。 一方、デンマーク司法省は今月17日、14年前の容疑であることなどを「総合的に判断した結果」と声明を出した上で、ワトソン容疑者を釈放した。 特別委は19日、外務省のデンマーク政府に対する働きかけのあり方が適切だったのかどうか検証し再発防止策を講じることや、法と証拠に基づく日本の立場の正当性について対外発信を強化することを求める決議文を採択した。24日の党政調審議会で決議文を審議し、速やかに首相官邸に提出する。 鶴保氏は「外務省はデンマーク政府と捕鯨問題について真摯な対応をしてほしい」と記者団に語った。特別委の山下雄平事務局長は、デンマークについて「グリーンランドでの先住民の捕鯨枠を認める一方、他国の捕鯨には非常に否定的という矛盾を抱えている」と指摘し、「今回ワトソン容疑者が行ったことを、デンマークの住民に対して行ったときに、デンマークは今回と同じ対応したのだろうか」と疑問視した。