阪神、金本氏に入閣要請をしていた!
和田監督も、将来の監督候補として引退後、コーチとして阪神のユニホームを着て経験を積んできた。3年契約の期間に一度も優勝はできなかったが、2年連続でCS出場を果たすなど、大成功はなかったが、大失敗もしなかった。これも幹部育成の成果だとも言える。今回の金本氏への“入閣要請”も、そういう阪神の長期的ビジョンに沿っての動きだった。 もちろんコーチ経験を積ませていく過程で、監督として不適任と判断されるケースもある。ゆえに将来監督の約束手形は渡せず、あくまでも“候補”としてのコーチ抜擢になるが、こういう試みに関しては、チームの内外からは一定の評価を受けている。 金本氏は、2002年にFAで広島から阪神へ移籍。連続試合フルイニング出場の世界記録に象徴されるように何があっても試合に出続ける姿と、勝利への執念という、これまでの阪神になかったスタイルをチームに持ちこみ阪神の風土を変えることに大きく貢献した。2度のリーグ優勝を成し遂げる中で、それらが一切妥協のない厳しい練習に裏づけられていることを証明し、強いリーダーシップを発揮したためチームの内外から“アニキ”と呼ばれて慕われた。2012年に引退後、評論活動をしているが、その歯に衣を着せぬ評論への評価も高い。今回『金本コーチ』の誕生は、幻に終わったが、阪神フロントは、引き続き、金本氏の動向を見守っていく考えで、これまでの阪神に欠けていた新しい指導者像を生み出すのではないかと期待を寄せている。 (文責・本郷陽一/論スポ、アスリートジャーナル)