SNSだけじゃない! 「若者に届く」ポッドキャストに脚光 米大統領選でトランプ氏活用
【ニューヨーク時事】SNSが影響力を発揮した今年の米大統領選では、もう一つの新興メディア、ポッドキャストも脚光を浴びた。 【写真特集】不動産王から米国大統領へ ドナルド・トランプ氏 返り咲きを決めたトランプ前大統領も「若者に届く」と多数の番組に出演。さながら「ポッドキャスト選挙」の様相も呈した。 ◇約半数が毎月利用 ポッドキャストは、インターネットで配信される音声番組。米調査会社エジソンリサーチによると、米国では今年、12歳以上の47%に当たる約1億3500万人が毎月ポッドキャストを聞いた。トランプ氏が初当選した2016年当時の21%から倍増。とりわけ若者に広く浸透し、12~34歳の約6割が利用しているのに対し、55歳以上では3割弱にとどまる。 投開票日まで2週間を切った10月下旬、トランプ氏は選挙集会の合間を縫って南部テキサス州に飛び、人気コメディアンのジョー・ローガン氏が司会を務めるポッドキャスト番組に出演。両者は約3時間にわたり、移民問題から「地球外生命体の存在を信じるか」まで幅広いテーマでトークを繰り広げた。 ローガン氏の番組は全米で最も聞かれているポッドキャストの一つで、対談の様子は動画としてユーチューブでも配信。これまでに約5300万回再生された。出演を勧めたのは、トランプ氏の末っ子バロン氏(18)という。 ◇影響力はテレビ以上 ローガン氏はユーチューブで1880万人、音楽配信サービスのスポティファイで1630万人の登録者を持つ。対して米CNNテレビの12月初旬の平均視聴者数は、夜のピーク時で約37万人。FOXニュースでも約250万人で、単純比較はできないものの、既存メディアを上回る影響力がうかがえる。 米紙ウォール・ストリート・ジャーナルによれば、トランプ氏は今年1~11月、約20のポッドキャスト番組に出た。大統領選を争ったハリス副大統領とのテレビ討論会に1度しか応じなかったのとは対照的だ。 ポッドキャストについて、ニューヨーク大のスコット・ギャロウェイ教授(マーケティング)は自身の番組で、家事や運動中といった「私的な状況で耳に届く、とてもくつろげるメディアだ」と指摘。テレビのインタビューは時間に限りがある上、政治家相手だと追及が主体になりがちなのに対し、リラックスした中でゲストが自由に過ごせるポッドキャストは「インタビューに最適だ」と強調。大統領選は「新興メディアを最も効果的に利用したトランプ氏の勝ちだった」と分析した。