戦没者「無言の叫び」伝え 都鳥兄弟最新作上映 戦争の記憶風化防止へ 北上【岩手】
北上市在住の映画プロデューサーの都鳥拓也さん(42)と伸也さん(42)兄弟の最新作「『時の伝え人』鈴木基之 生きたくても生きられなかった いのちの写真パネル展」は21日、同市のさくらホールfeat.ツガワで上映された。午前、午後合わせて300人が観賞し、戦争の愚かさや悲惨さを伝えていくことの大切さを実感した。 父親を太平洋戦争で亡くした遺族として、海外の戦地に置き去りにされた遺骨の「無言の叫び」を伝えようと静岡県や東海地方で20年以上、戦没者遺骨収集のパネル展を続けてきた鈴木さん(87)=同県=にスポットを当てたドキュメンタリー映画。数々の遺骨をはじめ、焼骨など生々しい映像もあえて公開し、戦時中のポスターも含め戦争の実情を伝えた。 監督を務めた伸也さんはアフタートークで「頭蓋骨、白い骨が圧倒的な量で、どれだけの人が亡くなったんだろうと衝撃を受けた。鈴木さんのメッセージをしっかり伝えようと、ナレーションは付けなかった」と説明。「今の教育現場では死に関わる言葉がタブー視され、戦争の話も避けられている。風化しないよう、映画を通じて伝えていきたい」と強調した。 都鳥兄弟は今後、各地で上映会を実施したい考え。問い合わせはロングラン映像メディア事業部=0197(67)0714=へ。