これから中国が日本に仕掛ける「グレーゾーン戦術」とはなにか? その「恐ろしすぎる戦術の中身」
以前から「超限戦」を仕掛けている中国。いま日本が気を付けるべきことは、中国が日本やアメリカの参戦を招かないような形(いわゆる「グレーゾーン戦術」)で、間隙を縫って台湾を制圧してしまうことだ。 【写真】「日本のどこがダメなのか?」に対する中国ネット民の驚きの回答 孫子の兵法で言うと、中国がアメリカに軍事で真っ向勝負するというのは愚策中の愚策。「戦わずして勝つ」が上策になる。そこで中国が軍事的な武力行使ではなく、超限戦を駆使したいわゆる「グレーゾーン戦術」で台湾を手に入れようと企んでいるのは間違いない。それゆえ日本は中国との緊張感に隙間を生じさせないよう、常に警戒を怠ってはならないのだ。 ※本記事は、『歴史戦と外交戦 日本とオーストラリアの近現代史が教えてくれる パブリック・ディプロマシーとインテリジェンス』(ワニブックス刊)より一部を抜粋編集したものです。
「中国の瓦解」によって台湾制圧戦略はどう変わる
山岡鉄秀(以下、山岡):アメリカのシンクタンクも「アメリカは中国と戦えば負ける」という類の報告を出してくるご時世なので、しっかりとアメリカの首輪をつないでおかないとどうなるかわかりません。 2020年のアメリカ大統領選挙時の騒ぎを思えば、アメリカが何かのきっかけで内戦状態に陥るという事態も、今やまったくの絵空事ではなくなりました。仮にそのような混乱が起これば、アメリカは自国の内政問題で手一杯になってしまい、対外的な問題には一切手を出せない状況に陥る可能性があります。 山上信吾(以下、山上):おっしゃる通り、私も個人的には、大統領選挙後の混乱が一番怖いと思っています。アメリカが内政に没頭してしまって、外に関心やリソースを向ける余裕がなくなってるタイミングで、中国が素早く行動を起こすという事態も考えられます。 あるいは、最悪なのは、中国が北朝鮮・ロシアと連携して、3正面で仕掛けてくるケースですよね。そうなった時には、アメリカを中心とする西側諸国の対応がどうしても遅れてしまうのではないかと懸念しています。 その観点で言えば、「中国の瓦解」にも注目しなければいけません。すなわち、中国経済はもう頭打ちで、不動産市場のバブルもはじけ、軍部には腐敗や汚職が蔓延している。はたしてこんな状況で本当に戦争などできるのか。傍(はた)から見ている一般人にそのような疑問を抱かせる現状に中国が身を置いていることは確かです。 だとすると、我々がまず気を付けるべきは、アメリカが退く・退かないという問題よりも、中国が日本やアメリカの参戦を招かないような形で、間隙を縫って台湾を制圧してしまうことです。軍事衝突にはいたらない、有事と平時の間の状態、いわゆる「グレーゾーン戦術」ですね。これを何より警戒しないといけません。 中国が真っ向からアメリカに軍事で挑むというのは、孫子の兵法で言うと、愚策中の愚策です。やはり「戦わずして勝つ」が上策ですから、中国が軍事的な武力行使ではなく、グレーゾーン戦術で台湾を手に入れようと企んでいるのは、おそらく間違いないでしょう。ならば、それを可能にするような緊張感の隙間を生じさせないよう、我々日本人も常に警戒しておかないといけません。 山岡:そうですね。中国は超限戦を仕掛けてきていますから。