「日本経済の危機的状況を直視せよ」 橋爪大三郎、小林慶一郎両教授がイベントで対談
筑摩書房は28日、東京都内の書店で、トークイベント「ハイパーインフレがこの国を襲う 社会科学の知見で『危機』を論じる」を開催。東京工業大学名誉教授の橋爪大三郎氏(社会学)と慶應義塾大学教授の小林慶一郎氏(経済学)を招き、来場者約40人が日本が抱える危機とその行方に耳を傾けた。 両氏が著した『ジャパン・クライシス』(筑摩書房)の刊行を記念したイベントで、小林氏が「政府の借金は1000兆円を超えた。このままではハイパーインフレに突入する」という見通しを示すと、橋爪氏は「危機は、今、そこにある。政府も知識人も、それを言わないのは無責任。国民も、政治家のせいにせず、危機的状況を直視すべきだ」と訴えた。 小林氏は「財務省が今年の4月に財務審議会で、2060年を見据えた異例の長期推計を出した」としつつ、「政府の借金が膨らめば、2030年までには、政府の借金は、GDPの300%、1500兆円、1600兆円になる。国債が日本人の金融資産の総量を超えるということだ」と、推計の内容を説明。 これに対し、橋爪氏は「毎年50兆円から100兆円の国債残高が増えていく。やがて、誰も買わなくなる国債を、日銀が毎年買い支えれば、インフレになるに決まっている」と指摘。「インフレは、国民から政府に金融資産が移転するということ。ハイパーインフレになれば、国民の預貯金はゼロになるに等しい」として、日本経済の見通しは厳しいとの認識を示した。