『ブギウギ』生瀬勝久のタナケンは「300点」 『舞台よ!踊れ!』制作裏をCPが明かす
NHK連続テレビ小説『ブギウギ』が現在放送中。“ブギの女王”と呼ばれる笠置シヅ子をモデルに、大阪の銭湯の看板娘・花田鈴子=福来スズ子(趣里)が戦後のスターへと上り詰めていく姿を描く。 【写真】ステージ上でこれまでにない笑顔を見せるタナケン(生瀬勝久) 昭和21年4月、付き人の小夜(富田望生)が姿を消して3カ月が経ち、大学を卒業した愛助(水上恒司)は村山興業の宣伝部で社員として働いていた。そんな中、スズ子に喜劇王・タナケンこと棚橋健二(生瀬勝久)との共演話が持ち上がる。 昭和の喜劇王といえば、“エノケン”こと榎本健一。タナケンのモデルがエノケンであるとは謳っていないものの、制作統括の福岡利武は「エノケンさんの研究をされている方から資料やご意見もいただきつつ、エッセンスをお借りして作っています」と説明する。 「エノケンさんの、舞台を降りると少し気難しさもあるような姿も描きたいなと思いましたし、そういう人であっても、スズ子がもがいた挙句に気が合って通じ合える、というところを表現したいなと。エノケンさんは笠置さんとも息の合った映画や舞台をたくさんやられていて、とても面白く拝見しましたし、スタッフみんなで研究しました」 タナケン役を演じるのは、生瀬勝久。福岡は「非常に難しい役で、喜劇人かつ普段は何を考えているのかわからないようなところがある。けれども『ブギウギ』は、明るく前向きな作品に見せたい。そう考えたときに、自然と思い浮かぶのが生瀬さんでした」と起用理由を明かし、「生瀬さんご自身にも『雰囲気が似てるからやりたい役だった』とおっしゃっていただけて、よかったと思います」と、希望通りのキャスティングに安堵する。 実際、生瀬も楽しみながらタナケン役に臨んだようで、福岡は「アドリブやアイデアもたくさん出されていましたし、趣里さんともいろいろとコミュニケーションを取っていて。明るく現場を巻き込んでいく力のある方ですし、すごくノッていらっしゃいました」と現場の様子を明かす。 「お茶目なところ、気難しい表情、“幕が上がれば、舞台は役者のものなんだ”といったカッコよさまで、しっかりと演じていただけました。表情の作り方も含めて、きっちりと台本の狙いを自分に落とし込んで、100点、200点、300点のお芝居をしていただけたと思います。おそらく生瀬さんも、だいぶ研究されてきたんじゃないでしょうか」 第76話では、いよいよ『舞台よ!踊れ!』の幕が上がる。福岡は「舞台の台本を作るのはすごく難しい作業でした。エノケンさんと笠置さんがやっていた舞台のあらすじはなんとなく残っていたので、その舞台をちょっと紐解きまして。舞台演出の荻田(浩一)さん、ドラマ演出の盆子原(誠)と、どこを抽出しようかと相談しました」と台本制作の裏側を明かし、「本当はもっとドカーンとやれたら面白いんですが、なかなか尺もなく、象徴的な部分をダイジェストでやるかたちになってしまいました」と悔しさもにじませる。 とはいえ、喜劇から歌パートへと流れる構成は斬新で、羽鳥善一(草彅剛)がスズ子のために描き下ろした新曲「コペカチータ」の初披露も含め、『舞台よ!踊れ!』は魅力あふれるステージとなった。福岡は、生瀬と趣里のコンビネーションを「息ぴったり」と称え、「生瀬さんも自由に演じていらっしゃいましたし、趣里さんも思い切って、自分らしくやろうと弾けた舞台で面白かったです」と話す。 実は「踊りは苦手、勘弁してほしい」と言い続けていたという生瀬。だが、福岡は「いざステージがはじまると、ノリノリでした」と歌パートの撮影を振り返り、「舞台の主役でもありますし、独自の踊りで表現するということで、『こういった踊りで』となんとなくご説明しつつ、自由にやっていただきました」と、生瀬のコメディセンスが光るパフォーマンスの舞台裏を明かした。 女優として新たな一歩を踏み出したスズ子だが、第76話のラストには愛助の母であり、村山興業の社長・トミ(小雪)からの言伝で、結婚を許す代わりに歌手をやめるよう言われてしまう。歌で日本中を明るくしようと意気込むスズ子が、この試練をどう乗り越えるのか。ますます目が離せなくなってきた。
nakamura omame