『GTO』鬼塚英吉の言葉はなぜ人々の心を動かすのか? “伝説のドラマ”をプレイバック
鬼塚(反町隆史)が真剣に向き合っているのは生徒だけではない
そのほかにも、生徒間のいじめをやめさせるために、鬼塚は「そんなやり方じゃぬるい!」と言い出す。教師が生徒にいじめ方のアドバイスを送るなんて、本来ならあってはならないが、鬼塚のことだから何か意図があってのこと……と思えるから不思議だ。いじめを受けているのぼる(小栗旬)を屋上から逆さ吊りにしたりと、衝撃すぎる教育法で本当にいじめを止めてしまうのだから、すごい。 鬼塚が真剣に向き合っているのは、生徒だけではない。恋愛観が曲がっている同僚の冬月(松嶋菜々子)に、「男の気持ち弄んでばかりいるから、男を見る目が腐って、何も見えなくなるんだよ」「愛はな、品定めじゃないんだよ」「俺は、あんたにそうなってほしくないんだよ」と必死で訴える場面もあった。その前に、噴水に突き落とす……という行為が必要だったのかという議論は置いておいて、彼の言葉が人々の心を動かすのは間違いないだろう。 『GTO』の主題歌「POISON~言いたい事も言えないこんな世の中は~」がリリースされた1998年から、四半世紀以上の時が流れた。あの頃よりも、言いたい事も言えなくなってしまった世の中を、鬼塚はどう見ているのだろうか。もう、当時のような型破りな教育は通用しないかもしれない。だとしても……。4月1日に放送される『GTOリバイバル』(カンテレ・フジテレビ系)で、わたしたちが内に秘めている想いを、鬼塚が代弁してくれることを願ってしまう。
菜本かな