「CO2の排出」で同じラインに立つインドと中国 日米にとって面倒なことに
戦略科学者の中川コージが12月5日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。ASEANにおける米中対立について解説した。
南シナ海で中国がアメリカの軍艦を不法侵入と批判
中国軍の南部戦区は12月4日、中国が領有権を主張する南シナ海に米海軍の戦艦「ガブリエル・ギフォーズ」が不法侵入したため、追跡監視を行ったと発表した。 飯田)南シナ海周辺で、さまざまなことが起こっています。5日の新聞によると、フィリピンが排他的経済水域(EEZ)を主張する海域に130隻以上の中国船が集結したということです。フィリピン沿岸警備隊は、これらの中国船は海上民兵であるとして、複数の巡視船艇を派遣しています。どうご覧になりますか?
米中対立のフロントラインであるASEAN
中川)米中対立のいちばんのフロントラインの1つがASEANです。そういう意味では、「フィリピンがアメリカにつく、中国につく」という話ではなく、フィリピンも両方の超大国をにらみながら、なおかつ中国と接しているので、常にASEANのなかで中国に対する疑いの目を向けています。ドゥテルテ政権から現政権になり、対応が変わるところはありますが、いずれにしてもASEANがホットであることは間違いありません。それに対して、日本は介入していくべきです。 飯田)日本が。 中川)もともとアメリカ側には「メコン河下流域開発(LMI)」があり、中国側には「瀾滄江メコン開発協力(LMC)」があったりと、フレームワークとして米中対立はずっとあったわけです。ただ、この辺りはなるようにしかならないと言うか、領海などの話になるので、お互い引くに引けないですよね。
「CO2の排出」で立ち位置が近いインドと中国がつながってしまう
中川)その辺りは我々に見えやすいのですが、対立というところでは、安全保障上の問題が1つある。国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)が開かれましたが、気候変動にはインドも絡んでくるので難しい部分があります。この辺りの動きからすると、フィリピンなどに関してはある意味、流動性が低いわけです。流動性が高いところに注目しておかないと、日本としての戦略を間違えかねないと思います。 飯田)「COP28」で注目されたのは、グローバルサウスと呼ばれる国々との関係性において、先進国がどれだけ支援・技術協力をするかというような話でした。岸田総理は日本国内の話に関し、CO2をたくさん出す石炭火力発電所の新規建設は行わないと発言しましたが、どうアプローチすればいいのでしょうか? 中川)気候変動やエネルギー安全保障に関わるところは、米中対立だけでなく、特にインドが中国側に立ちやすいわけです。