まさかの結末…趣里”亮子”がラストで見せた意外すぎる素顔とは? 『モンスター』第6話考察レビュー
粒来(古田新太)が一気に状況をひっくり返す
裁判は、原告側である亮子の優勢で進んでいく。生前のマサルは認知症の傾向があり、記憶があやふやになってた。そこに付け込み、遺言書を書き換え、素子に3億もの大金が手に渡るようにしたのではないか、というのが原告の主張。 しかし、敵がまだ大した活躍を見せていないうちから主人公が勝利を確信するような流れは、むしろ敗北フラグのようなもの。亮子の勝ちでほぼ確定、と思われた局面で、粒来がひっくり返す。 粒来が提出したのは、生前のマサルが遺したという動画ファイルだった。 画面上のマサルは、岡本プレミアクリニックの理念に惚れ、いつか未来の医療を変えることになるかもしれない、それに賭けたいと考え、贈与に踏み切ったと語る。そして、自身で新たな道を切り拓く力がある娘のエマに、自分の考え方や財産を受け継がせることは誤りだった、自分はただ娘を信じるだけだと言い残していた。 動画を見たエマは「パパがいる」と喜びの涙を流す。エマも、父の遺産を手に入れたくて訴えを起こしたわけではない。自分が憧れた、元気だったころの凛とした父の姿が失われたことが悲しく、認めることが出来なかった。 決断力に優れた経営者としての姿がまた見られたこと。何より、父が自分に期待をかけてくれていたことを知ったエマは、訴えを取り下げることにした。
結果は亮子(趣里)の完全敗北…。
繰り返しになるが、エマはお金が欲しかったわけではない。お金では手に入れられないもの。それは生前の元気だった父を取り戻すこと。絶望して生気を失ったのではなく、死の直前まで自分のポリシーを守って生き続けていたということが分かっただけでも、エマにとっては大きな救いとなっただろう。 結果として、親子対決は、父・粒来の勝利。依頼主であるエマは亮子に感謝していたものの、当初の依頼は果たせず、またエマがこの結果を喜んで受け入れたのは、粒来側が提出した動画によるところが大きい。これは、亮子の完全敗北と言って良いだろう。 エマの前では平静を装っていた亮子だが、事務所に戻ると子どものように泣きじゃくる。その姿は、お父さんに負けて悔しい、勝ちたかった、というシンプルな思いなのだろうか。 その様子に、杉浦が「子どもか」とツッコミを入れるが、その言葉の通り、彼女はまだどこか子どものままなのかもしれない。それはきっと父親が要因で間違いない。 今回の結末が、亮子にどのような影響を与えるのか。まさか、古田新太の出番がここで終わり、というはずがないだろう。次はどんな形で亮子と対峙することになるのか、気になるところである。 【著者プロフィール:ふくだりょうこ】 大阪生まれ関東育ちのライター。 大学卒業後からライターとして活動、シナリオ制作やエンタメジャンルの記事を中心に執筆。 ドラマと邦画、ハイボールと小説が好き。
ふくだりょうこ