朝ドラ『虎に翼』イキり散らす“男性”にも共感してしまう理由。「男vs女」のドラマじゃない!
100年後の現在も「はて」な物事はあまりに多い
『虎に翼』では男女の生き辛さや葛藤が描かれているが、“声を上げること”の必要性をとにかく感じてならない。本作では女性のみに姦通罪が適用されていたり、女性に参政権が与えられていなかったりなど、“1931年の常識”がいくつも登場する。しかし、今ではそれらは非常識でしかない。なぜそういった常識が改められたのかと言えば、寅子のように声を上げてくれた先人達がいてくれたからに他ならない。 とはいえ、約100年後の現在も寅子のように「はて」と首をかしげたくなる物事はあまりに多い。54万の反対署名を集めたものの政府は2023年10月に施行された「インボイス制度」はその典型である。最近のケースで言えば、DV・虐待被害者の立場を無視して十分な議論がされないまま、「共同親権」の導入を進める民法改正案が4月中旬に衆議院本会議で可決された。他にも、能登半島地震の復旧が進んでいなかったり、物価上昇に対する適切な対応がなされていなかったりなど、「はて」と思うことは1つや2つではない。
本作を男叩き・女叩きの道具として消費してはいけない
寅子のように声を上げなければいけない現状ではあるが、そういった機運はとても低い。私達が持っている権利、安心安全に暮らせる土壌は先人達が声を上げ続けてくれた勇気と努力の賜物である。にもかかわらず、ここ最近は声を上げる人を冷笑する風潮が根強い。もちろん、声を上げることは勇気が必要であり、その“有効性”もイマイチわからない。ただ、『虎に翼』を見ていると、声を上げることがより良い社会を作るうえで必要不可欠なアクションであることが嫌というほどわかる。 寅子のように自分の中に生まれた「はて」を無視せず、勇気を持って声を上げる必要性を示す『虎に翼』。男叩き、女叩きの道具として消費されるには惜しいドラマだ。 <文/望月悠木> 【望月悠木】 フリーライター。主に政治経済、社会問題に関する記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている。Twitter:@mochizukiyuuki
女子SPA!