中国不動産不況が深刻化 中国恒大に清算命令 その実態は?【WBS】
経営危機に陥っている中国の不動産開発大手「中国恒大集団」。去年6月末時点の負債総額は日本円でおよそ50兆円に上っています。29日、香港の裁判所が会社を清算するよう命じる判決を出しました。中国経済全体の足かせとなっている不動産不況について、その実態を取材しました。 香港の裁判所から清算命令が出た中国恒大集団。開発するショッピングモールを訪ねると外観は立派に見えますが、内装工事は途中で止まっていて一部の壁や天井はむき出しの状態。資材などが積まれたまま放置されていました。 ショッピングモールの入口には中国恒大集団傘下の電気自動車メーカー「恒大汽車」のショールームがあったようですが、中をのぞくとソファや商談を進めていたテーブルなどがそのままになっていました。 近所の住民は「債務が整理されてショッピングモールが開業するのが一番いい」と工事の再開を期待していましたが、そのめどは立っていません。 事の発端は、不動産バブルを警戒した中国政府が2020年に融資の規制を導入したことです。恒大集団は資金繰りが難航し、2021年には実質的なデフォルト(債務不履行)に陥っていました。 そうした中、外貨建て債務を巡り29日、香港の裁判所は中国恒大集団に資産を差し押さえ売却する「清算命令」を出しました。命令を受け、香港の株式市場では中国恒大集団の株価が20%以上暴落し、その後、取引が停止する事態に。判決を受けて中国恒大集団の肖CEOは中国メディアに対し「経営が大きな困難に直面する中、資産は限られていて、債権者の期待には応えられなかった」と話しました。 今後は香港の裁判所が任命した管財人のもとで中国恒大集団の資産の売却などの手続きに入ります。ただ、資産の大半は中国本土にあって手続きが進むかは不透明です。
5200万円返金されず...
不動産不況の影響は中国恒大集団だけではありません。1月5日、不動産を中心に投資していた資産運用大手「中植企業集団」が破産を申請。資金繰りへの懸念が表面化した去年8月には北京の本社に投資家が詰めかける事態となりました。 テレビ東京は中植が販売した投資商品の契約書を入手しました。年利が9.7%というこの商品。最低購入金額は100万元(約2100万円)ですが、300万元以上で10%、1000万元以上で10.5%と、投資額が増えるほど高利回りになるとうたっています。 家族が総額約5200万円、中植に投資していたという男性に話を聞くと「年利10%前後の利息を半年ごとにもらえる契約になっていた」といいます。購入後、利息も支払われていましたが、去年7月突如支払いがストップ。中植からは投資した約5200万円は返金されず、返金を求めて裁判所に訴訟を求めたものの受け付けられなかったといいます。 「解決しようと努力したが、われわれ一般人が解決できる問題ではなくなってしまった。できることは状況が変わるのを見守るだけだ」(家族が中植に投資した男性) ※ワールドビジネスサテライト