上場する電子部品40社 8割が営業減益や赤字 市場回復で今期反転へ
主要な電子部品メーカー40社の2024年3月期連結決算は、全体の8割にあたる32社が営業減益または営業赤字という厳しい結果となった。産機・民生市場の低迷や在庫調整の長期化が各社の業績に影響を与えた。一方、24年度は、過半の企業が2桁以上の営業増益を計画し、成長軌道への回帰を見込んでいる。 【関連写真】電子部品40社の24年3月期連結業績 40社の23年度業績は、為替の円安効果もあり13社が前期比で増収となったが、営業損益は、30社が減益、2社が赤字を計上した。営業利益が5割以上の大幅減益となった企業も9社に達した。 経常損益は32社が減益で、そのうち14社は3割を超える減益。当期純損益は24社が減益、6社が赤字を計上し、厳しさをにじませる内容が目立った。 分野別でみると、車載売り上げは、半導体供給不足の緩和で日米を中心に自動車の挽回生産が進んだことや、ADAS(先進運転支援システム)、電動車関連などがけん引し、前期を上回った企業が多い。一方、産機関連は、顧客の在庫調整が年間を通して継続した上、中国の景気低迷も続き、大幅な減収となった企業が目立つ。ICT関連も、米アップルのiPhone関連需要は堅調だったが、コロナ特需の反動によるICT端末需要の減少や中国スマートフォン市場の低迷長期化により低調に推移した。 収益面で円安は追い風となったが、工場の操業度低下や製品価格の下落、インフラコストの上昇、海外を中心とした人件費上昇などが各社の利益を圧迫した形だ。 今年度の連結業績予想は、40社のうち30社が増収を計画。KOAと山一電機、松尾電機は2桁の増収見込みだ。営業利益も7割にあたる28社が増益を計画し、うち22社は2桁以上の伸長を予想するなど計39社が最終黒字を見込む。 背景にあるのは、電子部品市場の反転予想だ。足元の部品受注は、車載分野では堅調さが継続しており、ノートパソコン(PC)やタブレット、スマホに加え、データセンター向けも回復基調にある。 産機・FA関連や半導体製造装置関連の部品需要は直近でも調整局面が続いているが、サプライチェーン在庫の解消が進みつつあり、今年度下期からの本格回復が予想されている。中国の経済指標にやや改善が見られることも追い風となっている。 一方、地政学リスクの高止まりや、日米の金融政策変化に伴う為替変動リスク、米中摩擦の激化など、先行きへの不透明感も残す。各社は今後も市場や顧客の動向を見極めながら、中長期の成長戦略を推進していく構えだ。
電波新聞社 報道本部