舞台あいさつに登壇した綾野剛

俳優の綾野剛が、11月11日に都内で開催された映画「花腐し」の公開記念舞台あいさつに、柄本佑、さとうほなみ、荒井晴彦監督とともに登壇した。 【写真】撮影を振り返る綾野剛 ■綾野剛が役作りとして荒井監督を観察 同作は、松浦寿輝の芥川賞受賞作を荒井監督が大胆に脚色した2人の男と1人の女が織り成す、切なくも純粋な愛の物語。 斜陽の一途にあるピンク映画業界。栩谷(綾野)は監督だが、もう5年も映画を撮れていない。梅雨のある日、栩谷は大家から、とあるアパートの住人への立ち退き交渉を頼まれる。その男・伊関(柄本)は、かつてシナリオを書いていた。映画を夢見た2人の男の人生は、ある女優・祥子(さとう)との奇縁によって交錯していく。 舞台あいさつでは、綾野が「『皆さんにこの作品がどういうふうに受け止めていただけるのか、届いていくのか』というのが大切にしている思いです。終わりを迎えることと始まりを迎えていくことの連続の中で、この作品っていうのは常に存在しているんだなと思うと、今日皆さんに見ていただいたことによって、またこの作品が育っていくというのがうれしく仕方がないです」と心境を告白。 また、役作りについて「栩谷も映画監督であったし、伊関は脚本家で、祥子は女優でっていう、何か絶対関係を断ち切れない因果関係みたいなものが、もっと言うと親和性みたいなものが、とても大切に紡いでいくものなんだろうなって思っていたので、目の前にいる(スタッフの)映画人の皆さんを見るっていうことが一番説得力があるって思ったんですよね。なので、荒井監督をずっと観察していました」と明かした。 ■綾野剛がせりふに苦戦「どうやって言えばいいのか…」 そんな中、さとうが印象的なシーンとして、栩谷が「おまえを濡らさないようにしたからじゃないか」と言うシーンを挙げ、そのせりふは撮影現場で急きょ監督が足したせりふであること、さらに、すぐさま綾野がそのせりふを自分のものにしたことに驚いたことを明かす。 すると、綾野は「どうやって言えばいいのかと、難易度がすごく高かったです。感情の往来を考えずに、スコンと出るように努めました。それは、佑くんを見て。佑くんのせりふの出る初速のスピードって本当にうっとりするんですよ。(前のシーンで)ちょっと一緒にやってたこともあって、(このシーンでは)一瞬イメージできたところがあったと思います」と柄本から良い影響を受けたことを語った。 ◆取材・文＝原田健