女子W杯崖っぷちのなでしこJが次のスコットランド戦に勝つための3つのポイントとは?
まさかのスコアレスドロー発進を告げる主審のホイッスルとともに、余力を残して決勝トーナメントへ進む青写真が崩壊した。グループリーグの残り2試合の対戦相手との相性を考えれば、なでしこジャパンが早くも崖っぷちに立たされてしまった。 フランスで開催されているFIFA女子ワールドカップ2019。過去4戦4勝と圧倒しているアルゼンチン女子代表と日本時間11日未明に、パリのパルク・デ・プランスでグループDの初戦を戦った日本女子代表は、圧倒的に試合を支配しながらも相手の守備網を崩せないまま90分間を終えた。 最新のFIFAランキングでは日本の7位に対して、過去2度のワールドカップで勝ち点を手にしていないアルゼンチンは37位。なでしことしては確実に勝ち点3を手にして、20位のスコットランド女子代表、3位のイングランド女子代表とランクが高くなっていく相手と戦う構想を抱いていた。 しかし、状況によっては全員が自陣に引き、守りを厚くする戦法で臨んできたアルゼンチンを攻めあぐねた。ボール支配率が61%に達しながら、放ったシュートが8本とそれほど多くなかった対照的な数字は、ボールをもたされたなでしこが相手に脅威を与えられなかったことを物語っている。 3度目の挑戦にして初めて勝ち点を手にしたアルゼンチンが、まるで優勝したかのように喜びを爆発させる。対照的に肩を落とし、敗者のような表情を浮かべるなでしこに何が起こっていたのか。日本女子代表の初代専任監督で、現在は解説者を務める鈴木良平氏は「初戦の難しさが出た」と分析する。 「アルゼンチンが守りを固めてきたこともあるが、前へ出すパスの部分であまりにもミスが多く、正確性にも欠けた。若くて勢いに乗っている選手が多いとはいえ、ワールドカップという舞台はやはり特別で、とりわけ初戦はそう簡単に普段の力を出すことができない。この相手には勝たなければいけない、という選手たちの共通の思いが、時間がたつにつれてどんどん焦りへと変わっていった」 2大会連続で決勝戦へ駒を進めているなでしこの平均年齢は、出場24チームのなかで2番目に若い24.17歳。就任から3年あまりをかけて、8年前には世界一に輝いたチームの世代交代を推し進めてきた高倉麻子監督は初戦の先発へ、ワールドカップ初出場となる8人を送り出した。 最大の決定機は後半11分。右サイドを駆けあがった右サイドバック・清水梨紗(22)=日テレ・ベレーザ=がマイナス方向へ折り返し、相手を引きつけながら詰めてきたボランチ・杉田妃和(22)=INAC神戸レオネッサ=が絶妙のスルー。MF長谷川唯(22)=日テレ・ベレーザ=のもとへわたった。 しかし、ノーマークだったがゆえに、かえって緊張してしまったのか。長谷川が振り抜いた左足にボールはヒットせず、当たり損ねのシュートは力なくゴールの左に外れてしまった。高倉監督も天を仰いだシーンにも、初戦の緊張が影を落としていたと鈴木氏は指摘する。 「利き足とは逆の左足であろうが、長谷川はしっかり蹴ることのできる選手。相手チームが一番嫌がるドリブルやスルーパスを繰り出せるのに、ここでもミスが多かった。他に決定機がなかったのは、攻撃のパターンやバリエーションが相手に読まれていて、完全には崩し切れなかったから。ラストパスやコンビネーションの部分で、残念ながら最後までアイデアに欠けていた」 勝ち点2を失ったと言っていいドロー発進で、日本時間14日午後10時にキックオフを迎えるスコットランド戦は正念場へと変わった。負ければグループリーグ敗退の危機に見舞われるなかで、どのように戦えばいいのか。鈴木氏は3つのポイントをあげた。