子供の数が減少しているのに、ベビーフードが「バカ売れ」の理由とは? 7歳になってもパウチを食す子供も…
パウチに入ったベビーフードの売り上げが、米国で急増している。2010年以来、900%も増加しており、従来の瓶詰めベビーフードの売り上げを超えている。 【画像】“美味しすぎる”パウチの罠 7歳になってもパウチ離れができない子供も… 米紙「ロサンゼルス・タイムズ」によれば、なかには、3人の幼い子供のために、月々約200ドル(約3万円)をこのパウチに費やしているという母親もおり、市場調査会社NIQのデータによると、米国の過去1年間のベビーフードパウチの売上額は4億6600万ドル(約714億円)以上と見積もられている。 人気の最も大きな理由は「その利便性」だ。 従来の瓶に入ったピューレは、スプーンを使って子供に食べさせる必要があったのに対し、パウチは子供が親の助けなしにひとりで簡単に食べられる。また、持ち運びにも便利だ。 さらには、野菜嫌いなどの偏食の子供を持つ親にとっては、栄養を補う手段としてもパウチは魅力的な商品であるようだ。というのも、多くの子供がパウチの中身の「滑らかな食感と甘さ」を好む傾向があるからだ。
パウチ離れができない子供も続出?
しかし問題もある。子供が固形食品よりもこのパウチを好み、18ヵ月を過ぎてもパウチを毎日の「食事」として食べ続けていることを同紙は指摘している。 多くの場合、子供は生後半年を過ぎた頃から少しずつ固形食品を食べ始めるが、食感や味が一様なパウチに慣れ過ぎた子供は、固形の食べ物を噛んで食べることへの適応が遅れる傾向があるという。 同紙のインタビューに答えた、3人の子供を持つ別の母親は、7歳になる長男がいまも1日に2~3袋のパウチを食べていると明かしている。 彼女は息子が野菜を食べないから「少なくても1種類の野菜が入っているパウチ」を与えているというが、「パウチへの過度の依存は危険だ」と、医師や栄養士らは同紙に語っている。 野菜入りのパウチを時折摂取することで、栄養バランスの改善が期待できる可能性はある。しかし、「高度に加工された食品」であるパウチへの依存は、子供の栄養はもちろん、長期的な食べ物の好み、歯の衛生、さらには言語の発達を妨げる可能性があると懸念を示している。 親がパウチに依存してしまう背景には、「誤解を招くラベル表示」もある。 各メーカーは、パッケージを通して「完全無添加」「オーガニック」、または野菜が入っていることなどをアピールしているため、親はパウチを与えることで多様で健康的な食事を提供していると思い込んでしまう可能性があると同紙は述べている。 だが、それらの広告は「必ずしも中身を反映しているわけではない」。 ブロッコリーと洋梨のミックスピューレとして宣伝されているパウチも、実際にはほとんどが洋梨で想像以上に糖分が高いことがある。同様に、チキンやビーフの絵が描かれた、プロテインを強調したパウチ商品も、アップルソースなどの「糖分の高い果物が主成分である可能性も少なくない」。 2019年の研究では、パウチ入りの乳児用および幼児用食品には、他の包装形態で入手可能な食品よりも、1食分あたりの糖分が大幅に高かったことが判明している。
COURRiER Japon