ゴミの基本を知れば、生活が楽になる【滝沢秀一連載】
ゴミ清掃員としても働く芸人の滝沢秀一(マシンガンズ)が、ゴミを回収していて気が付いた事実、それが「金持ちの家から出るゴミは少ない」ということ。長年にわたりゴミを見続けた滝沢氏だからわかる、ゴミに隠された秘密を教えます! みんなでゴミを少なくして、金持ちになろう! 【画像】滝沢家の紙資源 * * * 今年も早いもので、あっという間に4月になりました。新年度が始まったばかりのいい機会ですので、ここで改めて「ゴミの基本」についてお話したいと思います。新しく一人暮らしをして自分でゴミを処分しなければいけない人や、ちょっとでもゴミを少なくして環境にいいことをしたいと思う人など、ぜひ読んでみてください。 まず質問です。「ゴミ」には何種類あるか、わかりますか? 多くの方は「7種類」とか「8種類」とおっしゃいます。しかし、「ゴミ」には2種類しかないんです。 「なんで?」とお思いの方も多いと思います。だって、ゴミの分別にはペットボトルとかビンとか缶、新聞や牛乳パックなんかも分けて出すでしょう? しかし、ペットボトルやビンなど、先に上げたものは「ゴミ」ではなく全部「資源」なんです。 ゴミというのは「燃えるゴミ」と「燃えないゴミ」の2種類だけです(※地域によって異なりますが、東京23区の場合)。燃やされたり砕かれたりして最終処分場に埋められるものが「ゴミ」であって、ペットボトルなんかはリサイクルされますから「ゴミ」ではないわけです。われわれ清掃員の世界で「資源ゴミ」という言い方をすると怒られるんです。あくまでも「資源」であって「ゴミ」じゃないだろうと。 なので、「ゴミ」とは「可燃ゴミ」と「不燃ゴミ」の2種類、というのがゴミに関しての第一歩です。 では、「可燃ゴミ」として出されるものの中に、「資源」がどれくらい混ざっていると思いますか? これ、港区のデータなんですが、本当に燃やさなきゃいけないのは30%ぐらいだそうです。 「可燃ゴミ」のうち29%は紙類で、そのうち16%は再資源化できます。プラスチックゴミでは再資源化率は約9%、この二つを合わせるだけでも、約3割はゴミではなく資源になるわけです(※港区ではプラスチックゴミは可燃ゴミに分類されています)。 燃えるゴミとして燃やしてしまえば、灰になりただのゴミとして処分されてしまうものが、そのうち約3割も資源として活用できることが分かります。 ということは、きちんと分別すれば可燃ゴミの1/3がなくなるわけです。ゴミ袋を3袋作っていたとすれば2袋になるわけですから、ゴミ出しに行く手間や回数もぐんと減るわけです。 資源を分けるということは環境のためだけでなく、ごみ出しの回数も減ることになるわけですから、意識してやってみてはいかがでしょう。 ■生ゴミが臭くならない方法 われわれ清掃員にとって大敵なのは「ゴミ汁」です。ニオイと重さの原因となる諸悪の根源ですね。特に生ゴミから出るゴミ汁をギュッと一回絞るだけで、われわれにとってはもちろんですが、皆さんにとってもかなりのメリットがあります。 特に夏場、生ゴミはにおいますよね? でも、生ゴミ自体は決して臭いものではないんです。例えばきゅうりのヘタを切ったときに、ヘタは臭いでしょうか? そんなことはないと思います。それがゴミに出すとどうして臭くなるのかというと、水分で雑菌が繁殖することでにおいが出てしまうからなんです。 ゴミを臭くしないコツは、水分を取り除くこと。例えばきゅうりでも、最初にヘタを切ってから洗えば、捨てるヘタに水分はつきません。野菜は食べるところだけ洗えばいいんです。 それでも野菜自体に水分が含まれていますから、生ゴミは一度ギュッと絞るか、ちょっと乾かせばほぼにおいは出ません。 僕なんかは黒土を使った「コンポスト」をやっていて、コンポストの中に生ゴミを入れてしまえばバクテリアが食べてくれます。夏場だったら5日ぐらいで分解されてなくなってしまうので、生ゴミ自体を出すことがほとんどありません。 可燃ゴミの約40%は食べ物に関するゴミです。こうやって生ゴミを減らし、前半に話したように紙とプラスチックのゴミがなくなったら、もうほとんどゴミなんか出なくなります。そうすれば、ゴミ出しに行く手間や回数は、さらに減るわけです。 いかがでしょうか。なんだか主婦の方を対象とした漫談のようになってしまいましたが、とても便利な生活の知恵だと思っていただければ、皆さんにとっても十分役立つと思います。 もし、今回の話を気に入ってもらえたら、私も「滝小路ゴミまろ」として、ゴミ漫談を武器に全国を回ってみたいと思います(笑)。 ※ごみの捨て方のルールは自治体によって異なります。お住まいの地域のルールをご確認ください。 イラスト/北村ヂン