出荷を開始した小山町産のアトランティックサーモン＝24日、小山町役場

　小山町で国内最大規模のアトランティックサーモン陸上養殖施設を運営するプロキシマー（本社・横浜市）は10月下旬から、独占販売契約を結ぶ丸紅とともに全国への出荷を始めた。ブランド名は地域のPRも兼ねた「FUJIアトランティックサーモン」。2025年末までに国内の年間需要の1割前後に当たる約4700トンの出荷を目指す。 　同サーモンは脂ののりが良く、すしネタなど生食が主流。10月21日に初出荷し、国内で商業出荷にこぎ着けた初の事例となった。卸値は5キロあたり8千～1万円程度。今後、全国のスーパーや飲食店での活用を見込む。海外からの引き合いも入っているという。27年には、生産を年間5300トンまで拡大させる計画。 　プロキシマーは、同サーモンの養殖が盛んなノルウェーに本社を置く養殖業者「プロキシマーシーフード」の日本法人。22年秋に同養殖施設（延べ床面積2万8千平方メートル）を稼働し、2年間の成育期間を経て出荷に至った。現在は富士山の恵みの地下水を利用し、卵から水揚げサイズの4～5キロまで約200万匹を養殖している。同町の交通利便性を生かし、高い鮮度のまま消費地に届ける。 　同社のヨアキム・ニールセンCEOらは24日、小山町役場に込山正秀町長を訪ね、初出荷を報告した。ニールセンCEOは「構想から約10年、ようやく出荷できた。町の皆さんに大きなサポートをしていただいた」と感謝を伝えた。