女子バレー・黒後愛、3季ぶり代表復帰「うれしい気持ち。半分ぐらい諦めていた」…「恩返し」でパリ五輪導く
バレーボール女子日本代表は5日、都内で2024年度の始動会見を開いた。3季ぶり代表復帰のアウトサイドヒッター・黒後愛(25)=埼玉上尾=、古賀紗理那主将(27)=NEC=ら22選手が登壇し、今夏のパリ五輪出場権獲得の“ラストチャンス”へ決意を新たにした。真鍋政義監督(60)は今季のチームスローガンを「ONE TEAM ONE DREAM 一つの心でひとつの夢を掴(つか)む」と発表した。 再び日の丸が入ったユニホームに袖を通し、黒後の表情が引き締まった。「うれしい気持ち。半分ぐらい諦めていた。この場所に呼んでいただけたことに感謝したい。持ち味は世界と戦ってきた経験と力強いアタック。パリ五輪の出場権を獲得できるよう、精いっぱい頑張りたい」。壇上で背筋をピンと伸ばし、ゆっくりと言葉を紡いだ。 再スタートだ。25年ぶりに1次リーグ敗退となった21年東京五輪後、心身の状態が上がらなかった。1人で苦しんだ中、当時所属した東レの勧めで滋賀の選手寮から実家のある栃木に戻り、期間を決めずに休養した。翌年に復帰すると多くの人が待っていてくれた。「こんなに喜んでくれるんだ」。23―24年シーズンは6季所属した東レから埼玉上尾に移籍。Vリーグで25試合に出場してチームの3位に貢献した。かつての自信を取り戻す中で、今年3月に代表復帰の連絡を受けた。 昨秋の五輪予選はブラジル戦を現地で観戦していた。日本は2―3で敗れ、5勝2敗で出場権まであと一歩だった。「勝てない悔しさは(選手と)近い気持ちを感じていた」。気付けば黒後も客席で涙した。 古賀、石川真佑らに続く攻撃の柱として期待される。ネーションズリーグ(NL・5月14日開幕)後に決まる6月17日付の世界ランクがパリ切符へのラストチャンス。黒後は支えてくれた人への「恩返し」と言った。苦難を乗り越えた25歳が日本を導く。(宮下 京香) ◆黒後 愛(くろご・あい)1998年6月14日、宇都宮市生まれ。25歳。姉の影響で9歳からバレーを始める。東京・下北沢成徳高で2016、17年と全日本高校選手権を連覇し、MVPを受賞。17年に東レに入団し、強打で「木村沙織2世」と呼ばれた。18年に全日本に初選出され、同年のNLでデビュー。21年東京五輪代表。23―24年季から埼玉上尾に移籍。身長180センチ。最高到達点306センチ。 ◆バレーボール女子のパリ五輪への道 出場枠は男女各12。内訳は〈1〉開催国枠1(フランス)〈2〉五輪予選でトルコ、米国、ブラジル、セルビア、ポーランド、ドミニカ共和国が決定〈3〉5~6月のネーションズリーグ1次リーグ終了時(6月17日)の世界ランクで〈1〉と〈2〉の7か国を除いて5。ただし〈1〉と〈2〉で出場権を獲得した国がない大陸の最上位が優先され、残りは上位国が得る。アジア・オセアニアに属する日本は16年リオ五輪金の中国などと残りの枠を争う。
報知新聞社