『ドクタースランプ』パク・ヒョンシク&パク・シネが支え合う 別離を経て深まった愛情
Netflixで配信中の『ドクタースランプ』が、安定してランキング上位をキープしている。本作は、パク・ヒョンシク&パク・シネが、人生のスランプに陥った医師として、どん底から再生していくヒーリングロマンス作品だ。本稿では第9話と第10話を中心にご紹介する。 【写真】パク・シネを力強く抱きしめるパク・ヒョンシク パク・ヒョンシク演じるスター美容整形外科医のヨ・ジョンウは、手術中に患者が亡くなるという医療事故を起こす。事故は、陰謀によるもので事件は解決したが、ジョンウはその事故によりPTSD(心的外傷後ストレス障害)となってしまう。ジョンウの学生時代の同級生である、パク・シネ演じる麻酔科医ナム・ハヌルもまた、激務やパワハラを受けバーンアウト(燃え尽き)症候群としてうつ病になっていた。(※以下、ネタバレあり) ハヌルは、先輩医師ギョンミン(オ・ドンミン)から、過去に酷い裏切りを受けたことを思い出す。親身になってくれて味方だと信じていたギョンミンは、ハヌルの論文を自分のものとし、さらに病院内からハヌルの居場所を失くしてしまったのだ。そのことを思い出したハヌルは、交際して2日のジョンウも、いつか自分を裏切るのではないかと不安になり、ジョンウに別れを切り出した。ジョンウは、別れたもののハヌルへの想いは変わらず、ふたりは互いに悶々とする日々を過ごしていた。ハヌルの元気のない姿を見た母ウォルソン(チャン・へジン)は、大病院の跡取り息子とのお見合いをさせることにする。そうとは知らず、お見合いの場に赴いたハヌルは、相手からお見合いだと聞かされ、ウォルソンに激怒する。 一方のジョンウは、デヨン(ユン・パク)の美容外科で医師として復帰を果たすも、手術中にPTSDの発作を起こしてしまう。デヨンから、翌日の手術は中止するように言われるもジョンウは聞き入れない。そんなジョンウの状態を耳にしたハヌルは、彼の助けとなるべくジョンウの勤める病院へ行くことに。翌日、そうとは知らずジョンウが、手術室に入ると、そこには麻酔科医として自分をサポートしてくれるハヌルの姿があった。ハヌルの献身により、ジョンウは無事に手術を成功させることができた。PTSDの発作を起こして苦しむジョンウを、自身もうつ病の最中にあるハヌルが支える姿に、ふたりの再起を応援したくなるシーンだ。 ハヌルとジョンウのふたりは、元カノ元カレとして、互いに想い合いながらも元に戻れずにいた。酔ったハヌルが「(もう)寝た?」とジョンウにメッセージを送ったりと、“元カノあるある”をするのがほほえましい。そんなハヌルの行動を受けたジョンウは、ハヌルに「未練がましく待ってやる。だから戻ってこい」「ちゃんと食べて薬も飲んで時々散歩もしろ、それでいつか戻ってこい」と告げる。どストレートなジョンウの「戻ってこい!」にキュンと胸が高鳴る。告白もジョンウから、ハヌルが帰ってきやすいように復縁もジョンウからなのだ。 ジョンウは、ハヌルの友人ホンラン(コン・ソンハ)が、友人と電話でハヌルの話をしているのを偶然聞いてしまう。ハヌルがギョンミンに論文を盗まれ、悪質な噂を流して働けなくさせられたことを知ったジョンウは、ギョンミンの元を訪れる。ジョンウは、ギョンミンを問いただすが、ハヌルを貶めたギョンミンと殴り合いの乱闘になってしまう。その足でハヌルの元に行ったジョンウは、「ごめん。何も知らなかった」とハヌルを強く抱きしめる。 ここから、ジョンウとハヌルが互いをより深く思い合い、絆を深める一連の流れが、終盤を迎える前にゆっくりと上昇するジェットコースターのようだ。ジョンウは、ハヌルからケガの手当てを受けながら、手術中にハヌルの姿を見て涙が出そうだったことを話す。そして自分の心の内を打ち明ける。ハヌルから別れを告げられ、ハヌルを支えることができないと思い、「(ハヌルに)頼られる存在になりたいと思い、強くなろうとした」と言うジョンウ。 恋愛や友人関係、パートナーなどの人間関係は「欠けたもの同士が合わさって完全になる」という話もある。ハヌルもジョンウも、互いに自分を支えきれないような状態になった時、相手のために奮起し合う。それは傷のなめ合いではなく、補完し合う関係性だ。互いがシーソーでバランスを取るように、ひとりでは重く上がらなかったシーソーも、片側に相手が乗ることでバランスが取れ、足が宙に浮く。誰かの存在が自分の心を軽くし、前を向いて立ち向かおうとする原動力となり、心に羽が生えたように軽くなることがある。ひとりでは支えきれない荷物を背負った時、誰かに頼ること、支え合うことで、人は人に傷つけられても、また人に支えられ再生していくのだ。 交際2日で別れたハヌルとジョンウは、別離の期間を経て、より絆と信頼関係と愛を深めた。これまでのキスとふたりの想いの乗ったキスは、全く違うのだ。交際が始まったときのウキウキしたキスシーンと異なり、心の奥底に信頼を育んだふたりは、柔らかい色を放ちながら、互いの心が見えるような美しいキスを重ねる。ぜひその目でパク・シネ&パク・ヒョンシクが想いを込めたキスの温度の違いを確かめてもらいたい。
にこ