早春の川へ「重い、寒い、つらいけど…悪いものを落とす」 みこし担ぐ心意気に水しぶきが上がる
飯田市時又(ときまた)で10日、恒例の「時又初午(はつうま)はだか祭り」が開かれた。さらしを巻いた若者などがみこしを担いだまま早春の天竜川に入り、五穀豊穣(ほうじょう)や地域の発展を願った。 【写真】勢いよく水をかぶって身を清める
時又地区の若者減少を受けて、祭りの保存会は昨年に続いて地区外からも担ぎ手を募集。この日集まった約70人のうち6割が地区外からで、京都府や東京都からも参加があった。子どもたち約140人も小ぶりなみこしを担いで盛り上げた。
大人の担ぎ手たちは、「能登半島地震 復興祈願」などと書かれた布を貼った白馬や俵など5種類のみこしを担ぎ、地元を練り歩いた。天竜川の時又港に到着すると、軽快な和太鼓の音に励まされるように「オンスイ(御水)、オンスイ」と声を張り上げながら天竜川へ入っていった。
担ぎ手として7回目の参加という清水悠一郎さん(37)=飯田市=は「重い、寒い、つらいけど、悪いものを落とせたつもり。健康に1年過ごしたい」。天竜川の対岸から写真を撮影した愛知県知多市の竹内康さん(75)は「伝統行事を守る若者のパワーがにじみ出ている。この勢いに押されて春が来そうだ」と話した。