悲恋 継承争い…伊予に配流 木梨軽皇子の遺宝、四国中央に40年ぶり帰郷 特別展開催(愛媛)
宮内庁に眠る遺宝が40年ぶりに四国中央市に帰郷-。悲恋や皇位継承争いの末に伊予に流され命を絶ったとされる木梨軽皇子(きなしかるのみこ)の妻鳥陵墓参考地(同市妻鳥町)=東宮山古墳=で見つかった遺物を集めた特別展が、同市川之江町の歴史考古博物館「高原ミュージアム」で開かれている。市発足20周年に合わせ、普段は公開されていない宮内庁所蔵の副葬品など約240点を展示。学芸員の中勇樹さん(46)は「長年の夢がようやく実現した。国内で公開されていないものなど多彩な品々がそろっている」と来場を呼びかけている。12月8日まで。 木梨軽皇子は、5世紀中ごろに在位した允恭天皇の第一皇子で、兄妹間の恋や弟との皇位継承争いなどの悲話が伝わる。都から道後へと落ちる航海の途中で嵐に遭い、同市川之江地域に漂着したとされる。妻鳥陵墓参考地は古墳時代後期の墳墓で、1894年3月に発見。現在も宮内庁が管理し、出土した副葬品約300点を所蔵している。 特別展は、発見から陵墓参考地となるまでの経緯を振り返る第1章と出土品を紹介する第2章の2部構成。全国でも10点ほどしか確認されていない鍔(つば)付きの鉄矛や馬鐸をはじめとする馬具一式に加え、被葬者の位が高かったことをうかがわせる特別な模様が刻まれた品々などを展示するほか、専用の端末では展示品の裏側や遺物に残る布目などを詳しく鑑賞できる。 中さんは「馬具や武具など一式がそろってよりディテールが分かり、古墳の全体像がつかめるようになった。発見から130年を機に陵墓について知ってほしい」としている。 20日午前10時から学芸員による解説会、26日午後1時からは宮内庁の専門家らの講演会がある。20日からは図録(予定価格500円)の頒布を始める予定。問い合わせは同館=電話0896(28)6260。(三津田媛琳)
愛媛新聞社