選手の活躍は東京大会後の五輪への風向きを変えるか 強気の目標「金メダル20個」
26日開幕のパリ五輪に臨む日本選手団が5日、東京都内で行われた結団式と壮行会に参加し、旗手を務めるフェンシング女子の江村美咲(立飛ホールディングス)とブレイキン男子の半井重幸(ダンサー名・SHIGEKIX)=第一生命保険=らが夏の祭典での活躍を期した。 選手数は4日現在で、海外開催では最も多い393人で、最終的には400人を超える見通し。テコンドーを除く31競技に出場予定で、これも海外開催では最多。同じく海外では最多の金メダル20個を目指す。 開会式はセーヌ川で行われる予定で、サッカーなど一部競技は開会式前から競技を開始する。 日本オリンピック委員会(JOC)がパリ五輪で掲げる目標は「金メダル20個」。メダル総数の目標も55個で、海外開催の五輪ではともに最多だ。団体競技が軒並み出場権を獲得するなどして選手数も400人を超える勢い。強気な目標設定になった。 自国開催だった2021年東京五輪は、過去最多の金27個を含む58個のメダルを獲得。この流れを一過性で終わらせてはいけない。尾県貢団長は「東京に続きパリ大会で大きく飛躍したい」と期待を膨らませた。今回から主将は廃止するなど、選手の負担を減らし試合で全力を出せる環境づくりを進める。 東京のメダルラッシュは連日、日本中を熱狂させた。一方、大会は新型コロナウイルス禍での開催。終了後には、汚職・談合事件などの影響もあって国内の五輪熱は冷え込んだ。自国開催の五輪が終わって強化策の見直しを迫られた競技団体も多く、大会後は注目度の低下からスポンサー離れなどを招き、財政基盤は揺らいだ。 金メダルの期待が高い競技でも、日本体操協会は22年度決算で約2億6500万円の赤字となり、五輪代表選考会を1つ減らすなど苦心した。予算が足らず、代表合宿を中止した競技もある。五輪に吹く風向きを変えるためには、選手の活躍は大きな意味を持つ。 何より選手は夏の祭典に夢を抱き、日々の努力を続けてきた。結果にばかりとらわれず、持てる力を出し尽くし、正々堂々戦う姿が、多くの国民に勇気や感動をもたらすはずだ。それこそが、スポーツが持つ価値でもある。(小川寛太)