相次ぐウクライナ人男性の“国外脱出” 隣国ルーマニアでは氷点下の川越えで死者も…ルーマニアの対応の実態は?
ロシアによるウクライナ侵攻が開始から2年を迎える中、戦闘の長期化も相まって、ウクライナ人男性が兵役から逃れるために、不法に国外へ脱出するケースが相次いでいて、問題となっています。 川や山を越えて不法入国するウクライナ人への対応に追われる隣国のルーマニアを取材しました。 ◇
■相次ぐウクライナ人男性の“国外脱出”ブローカーに賄賂で脱出を試みる人も
ロシアによる侵攻が続くウクライナでは、「国民総動員令」によって、18歳から60歳の男性は、一部の特例を除き、国外に出ることが禁止されています。そのため、ウクライナ人男性が兵役から逃れるために、不法に国外へ脱出するケースが相次いでいて、国内で大きな問題に。 ウクライナの国境警備隊は、ブローカーらに賄賂などを支払って不法に国境を越えようとしたウクライナ人男性たちを拘束していて、その様子などを動画で公開して、警鐘を鳴らしています。
■氷点下の川越えで死者も…ルーマニア北部国境での過酷な実態
こうした状況に、ウクライナと国境を接する国はどのように対処しているのか取材するため、隣国のルーマニアに向かいました。 ルーマニア北部のマラムレシュ県。ここは、深いところでは水深3メートルある川と、約2000メートル級の山がウクライナとの国境沿いに連なっています。 ルーマニアの国境警察によりますと、侵攻直後からこれまでに、約8000人のウクライナ人が不法入国してきていて、その全員が18歳から60歳の男性だということです。 そのうち、川を越えた人は約3000人。川幅は50メートルから80メートルほどで、泳いで渡ってくる人がほとんどだといいますが、国境警察は、その過酷な実態を話します。 ルーマニア国境警察の広報担当 ユリア・スタンさん「これまでに、16人のウクライナ人男性が、不法入国の際に亡くなっていて、そのうち、9人が川を渡る時に亡くなりました」 冬には、川の水温が氷点下近くになるため、川越えの際には死者も出る事態に。それでも死のリスクを覚悟して、不法入国する人があとをたたないといいます。