「発端はL・ダミアンの獲得だった」ペレやネイマールを輩出した名門サントスはなぜ初めて2部に降格したのか。ブラジル人記者が明かす失墜の舞台裏【現地発】
多くの人々にとって、サントスは第二の心のチーム
名門サントスがその111年の歴史の中で、初めてセリエB(2部)に降格した。このニュースはサントスサポーターはもちろん、ブラジル中に大きなショックを与えた。なぜならサントスはブラジル人にとって特別なチームだったからだ。自分が応援するチームを持っていても、多くの人々にとって、サントスは第二の心のチームだ。 【画像】サントスのファンによって燃やされた車 その理由は3つある。 まずは、なにより王様ペレのチームだったこと。キャリアの終盤にニューヨーク・コスモスでプレーはしたが、18年在籍したサントスはペレの唯一のチームと言ってよかった。 2つ目は多くの優秀な選手を輩出してきたこと。若手を発掘し、育てるのがうまく、サントス出身の選手は「Meninos da Vila」(メニーノス・ダ・ヴィラ:ヴィラの子どもたち、サントスはヴィラ・ベルミーノという地区にあるため)と呼ばれている。ネイマール、ロビーニョ、ロドリゴなどもサントスの子どもたちである。 3つ目は、サントスが小さな町にあるビッグチームという点だ。サントスはサンパウロの4大チーム(サンパウロ、パルメイラス、コリンチャンス、サントス)に数えられがちだが、実はサンパウロから50キロほど離れた港町にある。にもかかわらずサポーターの数はブラジルで6番目に多く、世界のサポーターからの投票で選んだ「FIFA20世紀のビッグチーム」では5位に入っている(アメリカ大陸のチームの中では1位)。街とチームが一心同体というところでは、バルセロナやナポリに匹敵する。これまで46の公式タイトルを保持している。 「サントス」という名前は強いチームの代名詞でもあり、世界には46の「サントス」の名を冠したチームがある。例えばメキシコ一部のサントス・ラグナのように。つまりサントスは皆の憧れだったのだ。 そんなサントスがBに降格した。サントスは他の3つのチームと残留を争っており、リーグ最終戦でフォルタレサという決して強くはないチームに引き分ければ、降格を免れられた。しかし後半のアディショナルタイムにゴールを奪われ、1―2で敗れてしまった。2点目のゴールが入った後、サポーターは怒り狂いスタジアムを破壊し始めた。少なくとも座席1000個が燃やされ、壊され、外にあった車5台、バス1台が燃やされた。 それにしても世界に知られる名門がなぜこんな事態に陥ってしまったのか――。
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