デジタル機器を揃えた子どもの居場所オープン 鹿児島・奄美市
鹿児島テレビ
鹿児島県奄美市に3月、10代の子どもたちを対象にした、ある施設がオープンしました。様々なデジタル機器を取りそろえ、子どもたちの創造性などを育むことが施設の目的ですが、新たな「子どもの居場所」としての役割も担っています。果たしてどのような施設なのでしょうか。 3月20日、奄美市名瀬の商店街にオープンした「デジタルベースMINE」、奄美市のNPO法人が運営しています。開所式では市の関係者や近隣の商店街の人たちが施設内を見学しました。 見学に訪れた人 「びっくりですね。いろいろ機械があるので」 「居場所って基本的にスペースだけというイメージだったが子どもが集まりやすい感じかなと思った」 パソコンはもちろん、3DプリンターやVRゴーグルなど、最新のデジタル機器がそろうこの施設。保護者の同意を得て登録した10歳から18歳の子どもであれば、誰でも無料で利用できます。 オープンから1週間、取材した日は春休み中の小学生ら7人が利用していて、パソコンでオリジナルの缶バッジを作ったり、プログラミングでゲームを作ったりして楽しんでいました。 施設を利用した小学生 「自分の家の周りではできないことができて、3Dプリンターとか使えるから、そういのがやれるこの場所ができて他の人もうれしいと思う」 「楽しくてやりやすい環境だからまた次も来たい」 施設を利用した子どもの保護者 「こういうところで経験して積み重ねて自分のやりたいことが見つかればと思う」 普段、なかなか接することができないデジタル機器に触れやりたいことも自分で決められるため子どもにも、保護者にも好評のようです。 子どもに関心が高いデジタルに注目し、創造性や好奇心を育む場を提供するのが施設の目的ですが、もうひとつ別の役割も担っています。 それは「子どもの居場所」です。 「デジタルベースMINE」を運営する代表の林花穂さんは、その理由をこう話します。 NPO法人フリースクールMINE・林花穂代表 「子どもが、学校とか家庭とは違う場所で過ごせる場所や時間とか少なくなっていると思う。子ども自身も忙しくなっているとか、保護者ももちろん忙しいですがその子らしくいられる時間が少ない」 林さん自身、2人の子どもが不登校になった経験があります。それがきっかけで、3年前に不登校の子どもたちを受け入れるフリースクールを奄美市に開設し、その中でデジタル機器の可能性を感じたといいます。 NPO法人フリースクールMINE・林花穂代表 「フリースクールの中で子どもたちが過ごしているのを見て、すごくITとかデジタルと親和性が高いなと気づきました。どの子にとっても、もしかしたら生き生きとできるのって意外とデジタルの力を借りて、うまくマッチングできたら、こどもたちの可能性が広がるんじゃないかなと感じた」 奄美市教育委員会によりますと、2023年末時点で、市内の小中学校では不登校の子どもがあわせて105人いるということです。その一方、子どもの居場所として利用できる施設が少ないのが課題です。 奄美市の安田市長も民間施設との連携の必要性を感じています。 奄美市・安田壮平市長 「将来に希望を持っていきいきと生活できる。そういう奄美市でありたい。その上で行政の力だけでは限界があるので多くの民間団体の皆様と連携してやっていきたい」 NPO法人フリースクールMINE・林花穂代表 「デジタルをベースとすることでさまざまな背景とか、さまざまな状況を持つどの子にとっても支えになると思っています。自分の可能性を発掘できるような場になればいいなと」 いじめや虐待の相談件数は増加傾向にあり、子どもを取り巻く環境は厳しさを増しています。 子どもたちがわくわくして、自分らしくいられるように。そんな居場所を目指して「デジタルベースMINE」の取り組みは続きます。 こちらの施設の1日の受け入れ人数は最大20人で、開館日は毎週火曜日、水曜日、木曜日の午前10時~午後6時までと、土曜日の午後1時~午後6時までとなっています。
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