最後まで「自分らしいプレー」を。浦安・加藤竜馬が魅せる、“ミスター・バルドラール”としての矜持。【Fリーグインタビュー】
バルドラール浦安・加藤竜馬、現役引退のお知らせ。 2012年から、浦安でキャリアを重ねて早12年。クラブのレジェンドである岩本昌樹から10番を受け継いだ“ミスター・バルドラール”が、今シーズン限りでユニフォームを脱ぐ決断を下した。 今年のリーグ戦にも全試合出場し、先発メンバーとして第一線で戦っていた加藤の突然の引退発表には、浦安のファン・サポーターだけでなく、多くのフットサルファンが驚いたことだろう。 12月1日に行われたホーム最終戦には、加藤の浦安アリーナでの最後の勇姿を見届けるべく、会場には多くのファン・サポーターが駆けつけた。 “背番号10”がピッチに立てば、スタンドから自然と沸き立つ拍手。会場の退館時間ギリギリまで途切れることなく続いたファンサービスの列からも、彼がどれだけこのクラブで愛された存在だったのかがうかがえる。 「まだ体は動くし、やれる自信はあるんです」 自他ともに、引退が時期尚早なことは十分理解していた。 それでも加藤には、日本のフットサルのトップリーグで戦う選手として、譲れない“プライド”があった。 「最後まで、自分らしいプレーを全うしたい」 浦安アリーナで現役最後の1試合を戦い、ファイナルシーズン5試合、そして選手権への戦いを見据える加藤が、その胸の内を語った。 取材・文=青木ひかる
他チームからも評価してもらえる選手になれた
──ホーム最終戦を振り返って。 試合結果に関しては、しっかりとホームで最終戦で勝つことができて本当にパーフェクトでした。僕自身の出場時間は少なかったですが、しっかりと出た時間で何ができるか、何を残せるかを考えながらプレーできたかなと思います。 ──今日も変わらず、ホームゲームでは毎試合誰よりも早く会場入りをしている姿が印象的でした。 ほかの選手よりも早く、できれば一番に入るのは、キャプテン時代から常に心がけてきたことでした。いろんな人に支えてもらいながら、自分はピッチで戦うことができていると思っているので、試合前に売店だったり、音響さんに挨拶してからプレーするのは、自分のなかでのルーティンでしたね。 ──出場した瞬間は会場から拍手が起こりましたが、ピッチではどう受け止めましたか? 入った瞬間だったので、すごく感慨深かったです。平日にもかかわらず、僕の古い友人や浦安の元スタッフ、ファン・サポーターも900人以上の方が会場に応援に来てくれて。チームメートとしても、監督と選手としても一緒に戦ったケンさん(高橋健介氏、現フットサル日本代表コーチ)も、「代表活動があって行けないかもしれない」と前日に連絡をもらっていたのですが、仕事を終わらせて会場まで来てくれました。本当にありがたいです。 ──試合終了のホイッスルを聞いた瞬間の率直な気持ちは? 始まる前は、「残りあと40分間か……」と思いながら準備をしていました。終わった瞬間は、「もっと出たかったな、みんなの前でもっとプレーしたかったな」っていうのが素直な感想ですね。でも、悔いはないです。 引退を発表してから、浦安だけじゃなく、他のチームのファン・サポーターさんからも「最後まで応援しています」「お疲れさまでした」と温かい声をかけてくれる人ばかりでした。この浦安で12年間を過ごして、こんなにもいろんな方に評価してもらえる選手になれたんだなと実感しています。
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