福原遥インタビュー 自分の今後の向き合い方を改めて考えさせられた作品『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』
皆と一緒に何かをすることが好きだった
―― 小さな頃からオーディションで合否の結果を聞くという体験を続けて来られましたが、福原さんはどうやって乗り越えてきたのですか。 確かに結構つらくて、何回も辞めようと思いました。でも私は芸能に関係なく、皆で何か1つのものを作るということが好きなんですよね。学校でも運動会や文化祭など皆と一緒に何かをすることが好きでした。たぶんそれに気づけたからだと思います。あとは私は周りに恵まれているんです。一緒に作品を作っているスタッフさん、チームの皆さんが優しくて、一緒にお仕事出来るのがなにより楽しくて、その人たちと“やっていきたい”という想いが今は強いです。その想いが強いからこそ、やっていけているのではないかと思います。 ―― そんな現場で、福原さんご自身が「役者を続けていこう」と思った監督やスタッフ、先輩の俳優の方とのエピソードはありましたか。 たくさんあります。思うようにお芝居が出来ないことがほとんどなんです。心が折れそうになることもあります。連続テレビ小説「舞いあがれ!」(朝ドラ)も実際そうでしたが、永作博美さん、高橋克典さん、高畑淳子さんなど、大先輩とお芝居をご一緒させて頂いて、これまで自分が感じた事のない気持ちにさせて頂き、“もっとお芝居を知りたい。お芝居をやっていきたい”と思いました。 謙虚であり、学ぶことを忘れない福原遥さんのインタビューでは、何度も“周囲に感謝している”という思いが言葉になって出ていました。「今まで出会った誰かのお陰でここに立っている」と今の自分に対して言えることは、出来そうでなかなか忘れがちなこと。だから周囲に愛される人なのだと気付かされた福原遥さんとのひとときは、仕事に誠実に、人に誠実に、しっかり生きていくことの大事さを教えてくれる出来事でした。映画『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』、私自身も戦争をストレートに伝える作品も必要ですが、それと違ったアプローチで、見ているうちにじんわりと心に浸透する戦争の伝え方も大事だと、気づかされた作品でした。
取材・文 / 伊藤さとり(映画パーソナリティ)