市川團十郎 新橋演舞場1月公演は頑張る日本人へのエールに 「報われる忠実な男を作る」
歌舞伎俳優の市川團十郎(46)が21日、都内で来年1月に行われる「双仮名手本三升 裏表忠臣蔵」(1月3日初日、新橋演舞場)の取材会を行った。團十郎は2014年より毎年新橋演舞場の1月公演に出演。今年が通算15回目の出演となる。松竹130周年、同劇場100周年の始まりに「忠臣蔵」で花を添える。 「仮名手本忠臣蔵」は歌舞伎三大名作に数えられ「独参湯(薬の名前で集客不振の特効薬の意味で使われる)」に例えられるなど大人気の演目だ。團十郎は江戸後期に七代目團十郎が初演した「裏表忠臣蔵」の精神を受け継ぎ、新たな形で忠臣蔵の世界を描いていく。本筋だけではなく、斧定九郎らにもスポットライトを当てて描く。 團十郎は忠臣蔵について「役者の問題もあるが、近年忠臣蔵をやっても入らない月が出てきている。お客さま方も仇討ちに代表される日本人の魂みたいなものの理解度が薄れてきている。私でも理解しづらい部分がある」とコメント。今回は現代の視点を加えた、新たな形での忠臣蔵を現代の観客に届ける。初役となる大星由良之助を含む4役を演じ、宙乗りも行う。 由良之助を演じるにあたっては「勤勉で真面目で忠義を尽くす日本人を代表する人物として演じたい。今の日本人は時間通りに来て、仕事もきちんとやる。でもなぜか報われないような部分が多かったりする」と持論を述べた。「今の日本人は頑張っただけの幸せを感じているのかというとそうでもない。それを背負い、報われる忠実な男を作り上げたい」と意気込みを語った。 来年への意気込みを問われると「来年は(尾上)菊之助さんの襲名のそばにできるだけいたい」と同級生で来年菊五郎を襲名する菊之助に寄り添うことを宣言した。「僕もみんなに支えてもらった2年間がある。そういうものを恩返しする男でいたい。5月から何のお役でも承って、6月も何かあれば出る」と全力サポートを誓った。