横浜流星主演『べらぼう』題字を石川九楊が担当 「含蓄のある憎い命名に舌を巻いた」
横浜流星が主演を務める2025年NHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』の題字が決定した。 【写真】『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』の題字 本作は、“江戸のメディア王”として時代の寵児になった快男児・蔦屋重三郎(蔦重)を主人公とした笑いと涙と謎に満ちた“痛快”エンターテインメントドラマ。舞台は、文化隆盛の江戸時代中期。蔦重は、喜多川歌麿、葛飾北斎、山東京伝、滝沢馬琴を見出し、日本史史上最大の謎のひとつ“東洲斎写楽”を世に送り出す。日本のメディア産業、ポップカルチャーの礎を築き、時にお上に目を付けられても“面白さ”を追求し続ける。 主人公・蔦屋重三郎役で横浜流星が主演を務め、脚本は、『おんな城主 直虎』(NHK総合)、『大奥』(NHK総合)などの森下佳子が手がける。 題字を手がけたのは書家の石川九楊。「書は筆蝕の芸術である」ことを解き明かし、書の構造と歴史を読み解く。評論家としても活躍し、日本語論、日本文化論は各界にも大きな影響を与えている。 タイトルと題字の意図について、石川よりコメントも到着した。 石川九楊 コメント 「べらぼう」を書く 石川九楊 題名が「べらぼう」だと聞いたとき、なかなか含蓄のある憎い命名に舌を巻いた。 語源は江戸時代の見世物小屋の醜貌の畸人・便乱坊(ルビ・べらぼう)。今では転じて痴れ者など負の意味合いが強調されて使われることが多いが、そこには、尋常ならざる、異界の人などの正の意味も重なっている。 ここを見定めて書き始める。「べらぼ」まではすんなりと筆は進むが、「う」の箇所で、「ウッ」と筆が渋る。正書法は「う」だが、実際の発音は限りなく「お」に近い。「べらぼー」と音引きするか、「べらぼお」と口を大きく開いて書き終える誘惑にかられる。「う(U)」と口をすぼめて終る気になれないのだ。そこで行きついたのが、やや口を開いた「う」字。 また副題「蔦重栄華乃夢噺」では、人名「蔦重」が異質。そこでここは違った署名風の書体で書くことにした。
リアルサウンド編集部